バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

オータム・ダマスク(Autumn Damask/Quatre Saison)

オータムダマスク(Autumn Damask)

どんなバラ?

7cmから9cm径、30弁前後の、丸弁咲きの花形となります。
花色は鮮やかなピンク、サーモンが加わった暖かみのある色合いとなることも。
鮮烈なダマスクの香り。

高さ150cmから240cmに達し、横張りも高さと同程度に育つ強健種です。自然樹形を生かし、花壇植えなどにするのが最も適した仕立てかと思いますが、横張り性を生かし、低めのフェンスなどへ誘引するのもよいと思います。

名前の由来・別名


名前の通り、秋にも咲くバラ、返り咲きする数少ないバラとして知られていました。由来は非常に古く、紀元前、ローマ帝国が隆盛を誇った時期にはローマ市民によって香水代わりに利用されたと信じられています。
ロサ・ダマスカナ・ビフェラ/R. damascena bifera(2回咲きダマスク)とも、また、フランスではカトル・セゾン/Quatre Saison(”四季咲きバラ”)、英語圏でもフォーシーズンズ/Four Seasonsと呼ばれることもあります。

バラ育種史上の重要さ


サマー・ダマスクはガリカ/R. gallicaと中東に自生する原種、ローザ・フォエニキア/R. phoeniciaとの交配から生じ、オータム・ダマスクはガリカと返り咲きの性質がある原種、ムスク・ローズ/R. moschataとの交配により生じたのではないかというのが、長く定説となっていましたが、2000年に日本の研究者から、ゲノムの精査の結果、両系統とも、ガリカとムスク・ローズの自然交配種とロサ・フェドスケンコアーナ/R. fedtschenkoanaとの自然交配によりサマー・ダマスクが生じたという新しい説が提出されました。これは、最新の科学手法を用いた検証であり、受け入れられつつあるようです。しかし、ロサ・フェドスケンコアーナとダマスクの類似が少ないため、異議を唱える研究者もあります。(Quest=Ritsonなど)

オータムダマスクは、その返り咲き性が重要視され、新しいクラスの元品種となりました。

異説もありますが、ガリカとの交配により、返り咲きする性質を有するポートランド・クラスを生み出し、チャイナローズとの交配によりブルボン・クラスを生み出しと言われています。