バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

シャルル・ド・ミユ(ビザール・トリオンフォン)Charles de Mills (Bizarre Triomphant)

シャルル・ド・ミユ(Charles de Mills)

どんなバラ?

7cmから9cm径、カップ型、よく整ったクォーター咲きの花となります。しばしば完璧なガリカと評されるほど気品のある花形です。
ガリカの中でももっとも深いとされるカーマインの花色。最も完成されたガリカという高い評価も得ています。


わずかに香るのみ。「花形にふさわしい香りがあれば!」と多くのバラ愛好家がため息をつきました。

楕円形のつや消し葉。細いけれど固めの枝ぶり、90cmから120cm高さほどの小ぶりのブッシュとなります。棘の少ない品種です。
寒冷な気候を好み、日照不足にもよく耐える強健種です。そのためか、温暖地域では花つきが悪いことがあります。

異説の多い由来


1746年にはその存在が知られていたなど、古い由来の品種であるため、由来はつまびらかではありませんが、米国のバラ研究家、スザンヌ・ヴェリエール/Verrier, Suzanneによれば、この品種はドイツで育種され、当初はCharles Willsと呼ばれていたものが、フランスで流通する際にフランス風にシャッル・ド・ミユと呼ばれるように変化したのだということです。(“Rosa Gallica”)

Roger Phillips & Martyn Rix, “Best Roses Guide”

すべてのバラのなかで最も素晴らしい花を咲かせるもののひとつだ…/This rose has one of the most superb flowrers of all roses.


とまで評されています。


ビザール・トリオフォント/Bizarre Triomphanteという別称で呼ばれることが多くなりつつありますが、これはフランスのバラ研究家ジョワイオ教授/Francois Joyauxがこの品種の由来を精査した結果の主張に同意するものがあるのでしょう。

“La Rose de France”

…現在、”シャルル・ド・ミユ”という名前で市場に出回っている、このもっとも美しいガリカの1品種は、1790年以前に遡ることができる。というのは、その年に発行されたフランソワのカタログに記載されているからだが、1803年のデスメのカタログにも記載されているし、マルメゾン宮殿に植栽されていたことも知られている。…

アルディ(ティレリー宮の庭園管理長)はこの品種はオランダで育種され、デュポン(マルメゾン庭園のアドバイザー)によって(フランスへ)紹介されたと記述している。…

“シャルル・ド・ミユ”という品種名は1836年以前には現れていない。おそらく、1840年以前にはその名前では呼ばれていなかったのだろう。ロワズロ=デスロンチャムは1844年、イングランド人ミルズのイタリアン・パーゴラは旺盛に成長したチャイナ・ローズでカバーされていて有名であったことに言及している。…この名前(”Chales Mills”)がビザーレ・トリオンフォン/Bizarre Triomphantに変わってしまったのだろうか?…この品種は、”シャルル・ド・ミユ”ではなく、グラブロー(ロズレ・デ・ライの創設者)が呼んだとおり、ビザール・トリオンフォンと呼ばれるべきだろう。