どんなバラ?
ヴィオレットと表現するにふさわしい、深い色合いの花色ですが、花弁の基部が白く色抜けし、そのため、中心部に白い斑点模様がでることがあります。
しばしば、もっとも完成されたガリカであると記述される、美しく、また、耐寒性、耐病性をそなえた品種です。
ルイ・パルメンティエが生前公開した数少ない品種のひとつです。
1842年には、園芸家ルイ・ヴァン・ユウテ(Louis van Houtte:1810-1876)が残した文献に品種名が記されているとのこと。(”La Rose de France”)
全体としては、ガリカ・クラスの特徴を示していますが、樹形が比較的大きいこと、また、ケンティフォリアのように花弁が密集した花形になる等、典型的なガリカとは言えない特徴も備えており、交配には他のクラスに属する品種が使われたのではないかと言われています。
ギリシャ神話にちなんだ品種名
イポリートは、現在でも使われている女性名ですので、この品種が特定の人物に捧げられたものと考えることも可能ですが、おそらくギリシャ神話に登場する女戦士アマゾンの女王イポリートにちなんで命名されたものだろうと考えられています。
神話には異説もありますが、一般的には次のような話が伝えられています。英雄ヘラクレスが登場します。
ヘラクレスは、自らに課された難題をつぎつぎに解決してゆきます。
第9の偉業が、アマゾン族の女王イポリートが持つアレスの帯を手に入れることでした。
筋骨たくましいヘラクレスを見たイッポリートは、二人の間に子孫を残すことを約束してくれれば、帯を渡そうと約束します。しかし、ヘラクレスを忌み嫌う、女神ヘラは、ヘラクレスが女王をかどわかそうとしているという風聞を流したため、怒ったアマゾン戦士はヘラクレスを襲撃します。
しかし、ヘラクレスはひるむことなく剛勇をふるい、アマゾン族を打ち倒してしまいます。ヘラクレスは、激昂にまかせてイッポリートのガードルを奪い非情にも陵辱したうえで、ともに戦ったアテネ王テーセウスに与えました。イッポリートはテーセウスとの間に子をもうけたと言われています。
(註:この品種はなぜか『1990年アンギャン考古学会報』にリスト・アップされたルイ・パルメンティエ106品種に含まれていませんでした。著名な品種ですので追加しました)