バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

ダゲッソー(D’Aguesseau)

ダゲッソー(D'Aguesseau)

どんなバラ?

40弁ほどの丸弁咲きとなる大輪花。花色はクリムゾンとなることが多いようですが、時に一季咲きのオールド・ローズのなかでは類稀れなミディアム・レッドの花色となることがあります。
くすんだ葉色、120㎝から150㎝高さほどのシュラブとなります。

市場へ提供された時期、命名の由来など

1836年、J.P. ヴィベールにより公表されたので、彼の育種とされることが多いのですが、ルイ・パルメンティエの圃場に保管されていた品種リストに記載されていることから、パルメンティエ圃場からヴィベールの手に渡ったのではないかと推察されます。(Francois Joyaux, “La Rose de France”)

アンリ・フランソワ・ダゲッソー(Henri François d’Aguesseau:1668-1751)にちなんで命名されというのが通説ですが、ヴィベールの孫にあたる、マルキス・ダゲッソー(Marquis d’Aguesseau)に捧げられたという説もあります。 (Stirling Macoboy, “The Ultimate Rose Book”)

アンリ・フランソワ・ダゲッソーは、代々フランス宮廷の法務官をしているダゲッソー家に生まれ、ルイ14世、15世など、重商主義により王家が巨万の富を得て繁栄していた時代に、ときに失脚して隠遁していた時期もあるものの、長きにわたって博識な法務官として、フランス法曹界に名を残した人物です。

ナポレオンの熱烈な信奉者であったヴィベールがこの品種を王家の法務官ダゲッソーに捧げたことには少々不可解な印象をいだきます。そうした意味ではマッコイが述べている孫の名をとったという説に説得力があるようにも思います。

ダゲッソーは、政争に敗れ、生まれ故郷リモージュに隠棲している時代、文献の研究などに加え、ガーデニングにも精出していたことが知られています。ヴィベールは、アンリ・フランソワのこうした”園芸”への貢献に敬意を表したのかもしれません。