バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

プリンセス・オブ・ウェールズ(Princess of Wales)

プリンス・オブ・ウェールズ(Princess of Wales)

どんなバラ?

9cmから11cm径の丸弁咲きの花形、クリーム色のつぼみは開花すると透き通ったようなホワイトとなります。
頻繁に返り咲きする、フロリバンダです。アイスバーグに劣らないほど、ひんぱんに返り咲きします。
香りはわずかです。
丸みを帯びた深い葉色、少ないけれど大きなトゲ、固めの枝ぶりの120cm180cm高さほどのブッシュとなります。

品種名の由来

1997年、イングランドのハークネス(Harkness)社から育種・公表されました。当時のダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズに捧げられた品種です。交配親は公表されていません。

ダイアナ、プリンセス・オブ・ウェールズ
’Diana, Princess of Wales’ Photo/unknown [CC BY SA2.0 via Wikimedia Commons]


ダイアナはスペンサー伯家に生まれ、1981年、チャールズ皇太子と結婚しプリンセス・オブ・ウェールズとなりました。
イングランド国王は隣接する独立国であったウェールズを併合し、その統治者、プリンス・オブ・ウェールズを任命します。このプリンスはイングランド王位継承権の第一位となることから、皇太子を意味しています。イギリスでは皇太子のことをプリンス・オブ・ウェールズと呼ぶのはそのためです。
皇族としての華やかな日常から、皇太子の不倫などから過食症を患ったり、また、1996年、正式離婚、1997年の悲劇的な事故死など、華やかさと波乱にみちた生涯でした。この品種は、故ダイアナ元妃が生前、肺疾患者のための基金に貢献したことを記念して命名されました。

その他のプリンセス・オブ・ウェールズ

1871年、ラクストン(Thomas Laxton)作出のピンクのハイブリッド・パーペチュアル
1882年、ベネット/Bennettが作出したイエローのティー・ローズなど、同名の品種がほかにもあります。


両品種とも、当時の英国皇太子であったアルバート・エドワード(のちのエドワード7世)の皇妃、アレキサンドラ(Alexandra, Princess of Wales)に捧げられたものです。デンマーク王クリスチャン9世の子、品のある美しい容姿が人々から賞賛されていましたが、夫アルバート・エドワードは女優などと浮気を繰り返すイギリス王族の”伝統的”な人物でした。

現在の国王チャールズ3世の王妃カミラ(Camilla Rosemary Shand)はエドワード7世の愛妾であったアリス・ケッペル曾孫孫にあたります。不思議な因果を感じさせます。