バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

アルチュール・ド・サンサール(Arthur de Sansal)

アルチュール・ド・サンサール(Arthur de Sansal)

どんなバラ?

9cmから11cm径、丸弁咲きとなることが多く、また、花芯に緑目が出ることもあります。
開き始めはクリムゾン、次第に青みが加わり熟成すると深いカーマイン/パープルの花色となります。
強い香り。
広い、明るい葉緑、細めですが固めの枝ぶりのため、茎はしっかりと花を支えることが多い120cmから180cm高さのシュラブとなります。レーヌ・ヴィオレットとよく似た花色、樹形となりますが、深いピンクまたはパープルとなるレーヌ・ヴィオレットよりも”赤み”が前面に出てくる花色です。

育種の経緯

1855年、フランスのS. コシェ(Scipion Coche)が育種・公表したというのが通説ですが、同年、同じくフランスのカルティエ(M. Cartier)が育種・公表したとする説もあるようです。(Austin, David, “Old Roses and English Roses”)
ミディアム・レッドのハイブリッド・パーペチュアル、ジェアン・ド・バタイユ(Géant des Batailles:”戦闘の巨人”の意)の実生から生じたといわれています。

ジェアン・ド・バタイユ/Géant des Batailles)
‘Géant des Batailles’ Photo/Pascale Hiemann [CC BY SA-4.0 via Rose-Biblio]

由来から言えば、ハイブリッド・パーペチュアルにクラス分けされるべきかと思いますが、よく返り咲きする性質があること、また、明るい葉緑などから、ダマスク・パーペチュアル(ポートランド)にクラス分けされることが多い品種です。確かに形態からはダマスク・パーペチュアルのほうが納得のゆく位置づけのように思います。
デスプレ・フルール・ジョンヌの育種で名高いデスプレですが、彼の義理の息子のアルチュール・ド・サンサールも熱心なロザリアンであったとのことです。その、アルチュール・ド・サンサールにささげられました。(Brent C. Dickerson, “The Old Rose Advisor”)