どんなバラ?
7から9㎝径の中輪、40弁を超える、カップ型ロゼッタ咲きとなります。
花色は明るく澄んだライト・ピンク。外縁が淡く色抜けしたり、また時には全体がほとんど白、あるいはわずかに刷いたように淡いピンクとなることもあるようです。
強香。
120cmから150cm高さのシュラブとなります。小さな茶褐色のトゲが密生する細いけれど固めの枝ぶり、卵型の明るいつや消し葉などは典型的なガリカの特徴を示ことからガリカにクラス分けされています。
育種年が古い品種ですが、当時、ガリカというとパープルやクリムゾンという濃厚な花色の品種ばかりでした。この時代に淡いピンクのガリカが存在していたことには驚きを隠せません。
育種者、育種年
1815年以前にジャック=ルイ・デスメ(Jacques-Louis Descemet )により育種されました。
交配親の詳細は不明です。
ジャン-ピエール・ヴィベール(Jean-Pierre Viber)が1820年から発行していたバラ解説書『バラの命名とクラス分けに関する考察(Observations sur la Nomenclature et le Classement des Roses)』の1820、1826、1831年版にデスメ作出として記載されています。1826年版では、とりわけ”良い”品種だとヴィベールがコメントを残しています。
HelpmeFindの記述では育種年は1810年以前、ルベール・ローゼズ(Loubert Roses)の最新のWebカタログの記述では1813年以前に育種されたとしています。
ここでは確実性を重視して、1815年以前に育種されたとしておきます。
ガラティア(Garatea)をめぐる神話、民話
品種名のベル・ガラテはギリシャ神話に登場するニンフ、ガラテイア(Garateia)から来ています。「乳白色の肌をもつ者」という意味を含んでいるとのことです。(Wikipedia)
じつはガラテイアにちなむ神話には三つの話があります。
①海神ネ―レウスの娘(ニンフ)としてのガラテア
②キプロスの王ピュグマリオーンに愛された彫像(後に生を受け妻となる)であるガラテア
③生まれた娘を夫が望む男児として育てやがて神の力を受けて性転換をなしとげる女ガラテア
これら三つの神話のうち、①と②は絵画、楽曲など多くの芸術作品のモチーフとなりました。
①海のニンフ、ガラテイア

②ピュグマリオーンに愛され生を受けるガラティア

英国の劇作家ジョージ・バーナード・ショー(George Bernard Shaw:1856-1950,)はベジタリアン、穏健な社会主義者にして激烈な皮肉屋として知られていますが、1913年に初演された戯曲『『ピグマリオン(Pygmalion)』はこの神話②をモチーフとしています。
さらにこの戯曲を元に楽しいミュージカル『マイ・フェア・レディ(My Fair Lady)』が作曲され人気を博したことはよく知られています。
