モッコウバラ(Rosa banksiae)
「ええ、バラなの?」
と驚かれることもありますが、モッコウバラ(Rosa banksiae)はれっきとしたバラです。

2~3cm径の八重の花が、早春にこぼれるような房咲きとなります。
色はホワイト、軽く香ります。
幅狭、葉先が尖った小さな葉。旺盛に成育し柔らかな枝ぶりですが、数年後には、株元は幼児の腕ほどの太さとなり600cmから900cmまで枝を伸ばす大きなランブラーに育ちます。
トゲがほとんどないことはよく知られています。関東以西など温暖な気候下では常緑と考えていいと思います。大きさを別にすれば、あつかいやすい品種です。
品種名などの由来
中国南西部に自生しているバラとして知られています。英国王立園芸協会より中国へ派遣されたプラントハンター、ウィリアム・カール(William Kerr)は広東の庭園でこの品種(白八重)を発見し、1807年に故国へ持ち帰りました。これがモッコウバラがヨーロッパへもたらされた最初となりました。
モッコウバラには白八重(R. banksiae)、白シングル(R. banksiae normalis)、黄八重(R. banksiae lutea)、黄シングル(R. banksiae lutecsens)と4種が出回っています。
中国などで自生している品種がヨーロッパへ紹介されたのは、白八重が一番先で、元品種であろうと思われるシングル咲きのほうが後になりました。そのことから、先に登録された八重咲きはシングル咲きから変異したと思われるものの、単に“banksiae”。後から登録されたシングル咲きのものが”banksiae nolmaris(普通の)“と修飾語つきとなってしまいました。
- バンクシアエ(R. banksiae)、白八重、1807年にヨーロッパ(英国)へ紹介された
- バンクシアエ・ルテア(R. banksiae lutea)、黄八重、1824年英国、翌年フランスなどすぐに普及
- バンクシアエ・ルテセンス(R. banksiae lutescens)、黄シングル、1826年フランスなどで初見
- バンクシアエ・ノルマリス(R. banksiae normalis)、白シングル、1849年(1796年説も)英国など



学名のバンクシアエ(banksiae)は18世紀から19世紀にかけて活躍した英国の博物学者ジョセフ・バンクス(Joseph Banks:1743-1820)にちなんでいます。別名レディー・バンクスと呼ばれることがあることから、バンクス夫人にささげられたことがわかります。

ジョセフ・バンクスは1773年にはロンドン西郊外のキュー・ガーデンの顧問。
1778年には王立協会の会長に就任し、死去するまでその地位にあり
植物学の発展に大きな貢献を果たしました。
またバンクスは、1768‐1771年のキャプテン・クックの第1回航海にも参加し、南アメリカ、オーストラリアなどの植物を多くヨーロッパに持ち帰りました。ユーカリ、アカシア、ミモザをヨーロッパへ持ち帰ったのもバンクスでした。プラント・ハンターの先駆者のような人物です。
日本への到来
日本への到来は江戸時代だとされています。愛知県半田市には「萬三の白木香」と呼ばれる樹齢150年といわれる巨木があります。

世界最大のバラ

アメリカ、アリゾナ州トムストンにあるモッコウバラの大株は8,000 ft2(740坪)に広がっていて「世界最大のバラ」とされているとのことです。