どんなバラ?
11cmから13cm径、セミ・ダブル、平咲きの花形。
鮮やかなレッドで色づいていたつぼみは、開花すると全体はホワイト、花弁の縁に濃い赤がでる覆輪花となりますが、赤が残らず、全体が純白となることもあります。
強い香り。
幅広の、明るい色合、表皮がザラリとした縮み気味となるつや消し葉、小さなトゲが密生する枝ぶり、120cmから180cm高さのシュラブとなります。
育種者、市場へ出回るようになった経緯
1829年以前、英国のジェームズ・リー(James Lee)が育種・公表したと言われています。
その後流通が途絶えていましたが、1912年になって、英国の著名な園芸家ウィリアム・ポール(William Paul)が改めて市場へ紹介したと言われています。
ジェームズ・リーはブドウ栽培農場(Lee and Kennedy’s Vineyard)を共同経営後、1818年頃からバラ育種を行うようになりました。
この農場からはセンペルヴィレンス系の名品種、スタンウェル・パーペチュアル(Stanwell Perpetual)が生み出されています。
交配親は不明ですが、ロサ・ダマスケナ(R. damascena;”サマー・ダマスク”)とロサ・エグランテリア(R. eglanteria)との交配により生み出されたというのが一般的な理解です。
花はダマスクに香り、葉はエグランティンに特有なリンゴのように香るという解説もありますが、ちょっと眉唾ものかと感じています。
ダマスクローズのひとつとされることが多く、ここでもその解釈に従っていますが、全体的な印象としてはダマスクという感じがしません。英国のピーター・ビールズは著書『クラシック・ローゼズ(Classic Roses)』のなかで、ロサ・ルギニノサ・ハイブリッド(”エグランティン交配種”)とするのがよいと解説していますが、そのほうが適切かもしれません。
品種名の由来
ヘーベはギリシャ神話に登場する女神です。主神ゼウスとヘーラーの娘で青春を神格化した女神と言われ、オリンポスの神々の間で、不死をもたらす飲み物、ネクターを注いでまわる役目をしています。
水瓶の口を”Lip”と呼ぶことがあるとのこと。品種名はこの”水瓶”にちなんだものと思っていますが、確信はもてていません。