バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

スタンウェル・パーペチュアル(Stanwell Perpetual)

スタンウェル・パーペチュアル(Stanwell Perpetual)

どんなバラ?

7cmから9cm径ほどの、丸弁咲きの花となります。
花色は白。あるいは、わずかに筆で掃いたようなピンクが入ります。春の開花後、ぽつぽつと返り咲きします。
軽いですが、非常に印象深い独特な香りがします。(中香)
非常に小さな、深い色合いの葉、褐色または栗色の鋭いトゲが密生する、野趣あふれる枝ぶり。90cmから120cm高さ、ボリュームのあるシュラブとなります。

市場へもたらされた経緯

ヨーロッパ北部に自生する野生種、ロサ・ピンピネリフォリア(スピノシシマ)とサマー・ダマスクの交配種ではないかとみられています。オータムダマスクの返り咲きする性質により、この品種に、この系列の交配種のなかで、唯一返り咲きが期待できる品種となりました。

R.pimpinellifolia
Autumn Damask

英国、ミドルセックス州、スタンウェルにはジェームズ・リー(James Lee)のナーサリーがあり、バラ苗などの生産をしていました。1824年にリーは死去しましたが、未亡人であるリー夫人の庭園で、返り咲きするバラとして根付いたものが発見されました。
そのバラが1838年に市場に出回るようになり、”Stanwell Perpetual(スタンウェルの返り咲き品種)”と呼ばれるようになりました。
横広がりする枝ぶり、うつむいて咲く淡いピンクに色づいた花など、和風の庭にもよく似合う、しっとりとした深みを感じさせる品種です。

もしこの返り咲きの品種が偶然から生じたのであるとするならば、一季咲きのオールド・ローズと返り咲きする現代バラを掛け合わせて、同じような結果(返り咲きするオールド・ローズ)を作り出せないということはないはずだ…

この品種を入手して観察したデーヴィット・オースチンは著作のなかで、イングリッシュ・ローズの育種を決心するきっかけのひとつとなったと述べています。
しかし、オースチンは自然交配により返り咲き性を得たと理解していたようですが、実際にはチャイナ・ローズなどの返り咲き性の強いクラスとの交配により生み出されたとする説が有力になりつつあるようです。