どんなバラ?
7㎝から9㎝径の中輪のロゼッタ咲き。花芯の小さな弁は内向き、外弁は広がり気味となります。
紅に色づいていた蕾は、開花するに従い色抜けし白花へと変化してゆきます。外弁に紅色が残ったり、花全体が淡いピンクに染まったりと、色変化があります。


明るい色調のボール紙のようなざらりとした表皮のつや消し葉、細いけれど固めの枝ぶり、120cmから180cm高さの立ち性のシュラブとなります。
育種者、育種年について
フランスのフレデリック・ダメツィン(Frédéric Damaizin)が1869年に公表した品種です。
こう
1869年に発行された園芸年誌”The Florist and Pomologist and Suburban Gardener(花屋、果樹栽培家と郊外ガーデナー)”で新たなダマスク・パーペチュアルとして記載されたのが初見です。
正確な育種年、交配に使われた品種、品種名の由来など、いずれも不明です。

ダメツィンは1854年から1876年にかけてフランス、リヨンに圃場を持ち、バラの育種などにたずさわりました。多くのバラ農家が競い合うリヨンで、いちはやく特定の品種を意図的に交配する育種を始めた育種家だと伝えられています。(”The Old Rose Advisor” Brent C. Dickerson)
マリー・ド・サン・ジャンのほか、次のような品種の育種者としても知られています。
- 1858年、アルドワセ・ド・リヨン(Ardoisée de Lyon):モーヴ、ピンク、パープルと色変化の激しいHP
- 1864年、マダム・シャルル(Mme. Charles):サーモン・ピンク/イエローのティーローズ
- 1865年、アベル・グラン(Abel Grant):ミディアム・ピンクのHP
- 1867年、ジェネラル・バラール(Général Barral):ヴァイオレットのHP
上のリストの通り、ダメツィンが育種した品種の多くはHP(ハイブリッド・パーペチュアル)でした。彼は大輪花を咲かせ、香り高いバラの育種をめざしていたと思われます。
本品種についても、自身はHPと判定しましたが、米国のフィリップ・ロビンソン氏(Phillip Robinson)などは、ダマスク・パーペチャルとするのが適切だろうと評しています。
確かに、明るいつや消し葉、株肌に生じる大小のトゲ、開き気味の花形などは、ダマスク・パーペチュアルに特徴的なものです。
オールド・ローズとしては例外的なほど返り咲きする性質が強く、美しい花形、樹形であることもあって、非常に高く評価されている品種です。