どんなバラ?
現在出回っている’エマーブル・ルージュ(Aimagle Rouge;”感じのいい赤”)’はつぎのようなものです。後述しますが、本来のものではないという意見が多いです。
一季咲きのガリカ。
飾りのような優美な萼片に覆われていた丸みのあるつぼみは開花するとカップ形、ロゼッタ咲きとなります。花色はピンクを含んだ赤、茜(あかね)色。香りはそれほどでもありません(中香)。
いかにもガリカらしいたまご形のつや消し葉。150㎝から180㎝高さのシュラブとなります。
育種者、育種年などの混乱
現在、受け入れられている解釈
1798年以前、ドイツのシュヴァルツコフにより育種されたが、すでに消滅し現存していない。同名で流通している品種の由来は不明のまま。
ジョワイヨの解説
最初のエマーブル・ルージュは消滅してしまい、現在同名で流通しているものは1819-20年ころ、ヴィベールにより育種され、親しみやすい品種名が与えられたのだろう…
ゲルダ・ニッセンの解説
1979年、わたしがデンマークのオールドローズ農場で再発見したもので、ジョゼフィーヌがマルメゾンで育てていて、その愛らしい名前をつけたに違いない…
現在説の根拠
1783年に刊行された『Verzeichnis des Landschaftsparks von Schönbusch(ショーンブッシュ公園における植栽リスト)』の中に庭園丁であったクリスチャン・フランツ・ボード(Christian Franz Bode)」が作成したバラ・リストがあるが、その中にシュワツコフが育種したと思われるものが数多く含まれている。
エマーブル・ルージュはそのうちのひとつである。
1815年、ボタニカル・アーティストであるサルモン・ピナス(Salomon Pinhas)はバラのイラスト集『Rosen-Sammlung zu Wilhelmshöhe(ヴィルヘルムショーンにのバラコレクション)』にエマーブル・ルージュを掲載している。

