pub-1741325905445363

バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

バラの物語~スィート・ジュリエット

スィート・ジュリエット(Sweet Juliet)

11cmから13cm径、35弁前後の浅いカップ型の花が数輪ほどの“連れ”咲きとなります。
花色はピーチの色合いの入った、ソフトで気品のあるアプリコット。
軽く香ります。(中香)
丸みを帯びた例外的なほど大きな灰白気味のつや消し葉。細く柔らかな枝ぶり、120cmから180cm高さのシュラブとなります。

育種者、命名の由来など

1989年、デヴィット・オースチン農場から育種・公表されました。種親にイエローのイングリッシュ・ローズ、グラハム・トーマス(Graham Thomas)、花粉親にピンク・アプリコットのイングリッシュ・ローズ、アドマイヤード・ミランダ(Admired Miranda)が使われたとのことです。

シェイクスピアによる悲劇『ロメオとジュリエット』のヒロイン、ジュリエットにちなんで命名されました。

シェイクスピア『ロミオとジュリエット』

改めて解説するまでもないとは思いますが、物語の概要はつぎのようなものです。

舞台は、14世紀後半のイタリア・ヴェローナ。モンタギュー家 とキャピュレット家 とはいく世代にもわたって対立をつづけていました。
モンタギュー家の一人息子ロミオは一族の娘ロザラインへの片想いに苦しんでいます。その気晴らしにと友人達と敵対するキャピュレット家の仮面舞踏会に忍び込みますが、そこでキャピュレット家の一人娘ジュリエットに出会い、たがいにひとめ惚れ、修道僧ロレンスのもとで秘密裏に結婚します。

しかし、その後ロミオは街頭で両家の争いに巻き込まれ、争いのなかで親友マキューシオが殺されてしまいます。逆上したロミオはキャピュレット夫人の甥ティボルトを殺してしまいます。この罪によりヴェローナ大公はロミオを追放処分とします。その夜、ひそかにジュリエットの元に訪れ、たがいの愛を確かめあいます。しかし、残されたジュリエットは父キャピュレットからエスカラス大公の親戚のパリス伯爵と結婚しろと迫られます。

ジュリエットに助けを求められた修道僧ロレンスは計略を思いつきます。それは秘薬によりジュリエットを仮死状態にし、死んだと思わせることでした。
しかし舞い戻ったロミオはジュリエットが死んだと思こみ。墓参に来たパリス伯爵と決闘したすえに殺害し、そして彼女の側で毒薬をあおって自殺してしまいます。
仮死状態から目覚めたジュリエットはロミオの亡骸に泣きすがり、ロミオの短剣で深く胸を刺し、後追い自殺をしてしまいます。

『ロミオとジュリエット』第2幕、第2場ーキャピュレット家のバルコニー

第2幕、第2場、キャピュレット家の庭園において、有名なせりふ、
ああ、ロミオ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?/O Romeo, Romeo! Wherefore art thou Romeo?
お父様にそむいて、名前を捨てて!/Deny thy father, and refuse thy name;
の後、つづいて、
モンタギューって、なに?手でも足でもない/What’s Montague? It is nor hand, nor foot,
腕でも顔でも/Nor arm, nor face, nor any other part
人間のどんな部分でもない/Belonging to a man
だから、別の名前を/O! be some other name:
名前ってなに?バラと呼んでいるけれど/What’s in a name? that which we call a rose
別の名前で呼んでみても、甘い香りに変わりはないわ/By any other name would smell as sweet
とバラをたとえてロミオへの切ない想いを述べます。ジュリエットは、ロミオに”Sweet”と呼びかけ、また、ロミオも恋に酔いしれた気持ちをしばしば”sweet”と表現します。甘く切ない場面をあざやかによみがえさせる品種名です。

芸術分野における数えきれないほどの影響

この悲劇は世界各地でいく世代にもわたって公演され涙をさそいました。その影響は、映画やミュージカル、オペラ、バレイなどの音楽、絵画、文学へと広くそして深く影響を与えつづけています。

和訳は坪内逍遥からはじまり、中野好夫、福田恆存、小田島雄志、近いものでは松岡和子など数多いです。松岡和子訳にはふれたことがないのですが、個人的な好みから言えば、小田島雄志より福田恒存、でもやっぱり中野好夫という順となります。

文学

この物語の完璧な美しさゆえでしょうか、翻訳は読み切るためらってしまうと言っても過言ではないと思いますが、類話、翻案はとても少ないです。それでも比較的よく知られているのは、
スイスのゴットフリート・ケラーによる短編『村のロメオとユリア』です。
内容はいがみあう農家の青年サリーと娘ヴレーヘンの悲恋ですのでし、書名からもロミオとジュリエットの翻案のように感じられますが、強い意志をもって悲しいエンディングにひたすらに進みゆく若いふたりの物語は、ロミオとジュリエットとはまた別の物語です。
英国のフレデリック・ディーリアスは妻と協同して英訳しオペラ『村のロメオとジュリエット』の台本としました。

映画/ミュージカル

何度も映画化されていますが、1968年のフランコ・セフィレッリ監督、ジュリエットをオリビア・ハッセーが演じたものが一番評価が高いと思います。ニーノ・ロータ作曲の”A Time for Us”を耳にする度にオリビア・ハッセーの初々しい横顔を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

1998年に公開されたジョン・マッデン監督による『恋に落ちたシェイクスピア』はロミオとジュリエットの初演を背景とし、駆け出しの劇作家であるシェイクスピアの恋を描いたものでした。初演の終幕、観客は悲劇的な終りに声もなく立ち尽くしていました。そして、突然に劇場をゆるがすほどの絶賛の声が響き渡ります。初演の後、今日にいたるまで世界中の人びとの涙を誘う物語のはじまりはかくやであっただろうと納得できるものでした。

1957年、レナード・バーンスタイン作曲のブロードウェイミュージカル『ウェストサイドストーリー』が初演を迎えました。ロミオとジュリエットのストーリーを翻案し舞台をニューヨーク・ウエストサイドへ移したもの、ポーランド系ジェット団とプエルトリコ系シャーク団という異なる非行少年グループの抗争を描いた物語でした。
1961年には映画化されて日本でも公開されると、多くの若者が、青春を熱く彩る名曲とエネルギッシュなダンスに酔い痴れました。
『プロローグ』、指を鳴らしながら狂おしくダンスし交差するジェットとシャーク。アニータとベルナルドが踊り狂う『アメリカ』、マリアとトニーのバルコニーシーン『トゥナイト』。
とりわけジョージ・チャッキリス演じるベルナルドには女性ばかりではなく男性も魅了され、パープルシャツを着まわすのが当時のファッションとなりました。
2021年、スピルバーグ監督により再映画化されました。レイチェル・ゼグラー演じるマリアとアリアナ・デボーズ演じるアニータは1961年版よりエキゾチックでプエルトリカンの感じが強いのでお薦めです。どちらもとてもいいミュージカル映画だと思いますが、1961年版のガリガリした感触のほうがずっと素敵だと思っています。

楽曲/オペラ/バレエ

ロミオとジュリエットの悲劇を主題とした楽曲、オペラ、バレエ音楽も数多く残されています。おもなものをリスト・アップしておきます。

  • 劇的交響曲『ロミオとジュリエット』エクトル・ベルリオーズ(1839年初演)
    第1幕第2場 『騎士たちの踊り』はコマーシャルなどでよく利用されています。
  • オペラ『ロミオとジュリエット』 シャルル・グノー(1867年初演)
  • 幻想序曲『ロミオとジュリエット』ピョートル・チャイコフスキー(1870年初演)
  • オペラ『村のロミオとジュリエット』フレデリック・ディーリアス(1907年初演)
  • バレエ『ロミオとジュリエット』プロコフィエフ(1938年初演)
    演奏会向けの第2組曲、出だしの『モンターギュー家とキャピュレット』はよく耳にします

絵画

ロミオとジュリエットを題材とした絵画は少なからず残されているのですが、傑作と呼ぶにふさわしい作品にはまだ出会っていません。
いくつかよく引用される作品をご紹介します。

John William Waterhouse [Public Domain via Wikimedia Commons]
Thomas Francis Dicksee [Public Domain via Wikimedia Commons]
Frank Dicksee [Public Domain via Wikimedia Commons]
Ford Madox Brown [Public Domain via Wikimedia Commons]

当サイト内の文章・画像等の無断転載及び複製等の行為は禁じます。
Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited.