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バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

エヴァンジェリン(Evangeline)- Hybrid wichrana

Evangeline

エヴァンジェリン(Evangeline)- Hybrid wichrana

どんなバラ?

3cmから5cm径、シングル咲きの花形、豪華な房咲きとなります。
ミディアム・ピンクの花弁、中心部は白く色抜けします。
強い香り。ふっくらと円みを帯びた照り葉、柔らかな枝ぶり、350cmから600cm高さに及ぶランブラーとなります。
耐病性、耐寒性にすぐれたじょうぶな品種であることに加え、他のバラが咲き終わったあとに開花する遅咲きの性質が特出すべき特徴かもしれません。

育種者、育種年および育種名の由来など

1906年,アメリカのM.H. ウォルシュ(Michael H. Walsh)により育種されました。
種親はウィックラーナ、花粉にはノイバラ系ランブラーのクリムゾン・ランブラーが用いられました。
この組み合わせは、クエスト=リットソン氏がドロシー・パーキンスの交配親として指摘している交配と同じです。

ウォルシュは詩人H. W. ロングフェローの熱心な読者だったのでしょう、ハイアワサやミネハハなどロングフェローの叙事詩に登場人物にちなんだランブラーを残しています。この品種もロングフェローの叙事詩『エヴァンジェリン: アカディの話 (Evangeline: A Tale of Acadie)』のヒロインにちなんで命名されました。
ウォルシュはこの品種の可憐な花に出会ったとき、恋人への思いに命をささげたエヴァンジェリンのイメージと重なったのだと思います。

'Evangeline' Painting/Christian Schussele
‘Evangeline’ Painting/Christian Schussele [Public Domain via Wikimedia Commons]

十七の夏を過した娘は、優にやさしい美人であつた。
目は、道端の茨に實のる苺のやうに、あくまで黒く、
其目が、房々とした前髪の鳶色の影から柔らかに光つた。
つく息は、野に草を食む牝牛の息のやうに、芳しかった。
刈り入れの暑いお午頃、手製のエールの小さな壷を、
働き人に持つて行く時、本當に綺麗な娘であった。

訳:斎藤悦子(岩波文庫)

岩波文庫に収められた斎藤悦子さんによる翻訳『哀詩エヴァンジェリン』には、この叙事詩にみちびかれたような哀話があります。

悦子さんの兄斎藤博氏によるはしがきを一部引用します。

…悦子は急病で死んだ…自分とは随分年が違って居たので、妹と云うより寧ろ娘のやうな氣がして居た。ふだんから兄弟中でも丈夫な子で、此夏の生き別れが、死に別れにならうとは夢にも思はなかった。

不思議なことには、悲しい電報を受け取ってから二三日後に、片附ものをして居ると、書類の中から、妹が書いた小さな帳面が見出された。それはエヴァンジェリンの譯であった。讀むともなしに讀み乍ら、二十三歳で死んだ妹は、何だか不運なエヴァンジェリンに似て居るような氣がした。

昭和3年12月、天洋丸上にて、兄斎藤博

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