どんなバラ?
7㎝から9㎝径、ライトピンク、よく整ったロゼッタ咲き、またはダリアのような花弁が密集する丸弁咲きとなります。
美しい灰緑のつや消し葉の中型のシュラブ。1840年ころから市場へ出回っていることから、そのころ育種されたと思われますが、どこで、だれが、どんな交配親を使ってといった詳細はわかっていません。
品種名の由来
ベラ・ドンナは”美しい女(伊語)”という意味ですが、ヨーロッパの湿地に自生するナス科の毒草の名前でもあります。
“ベラ・ドンナの果実(fruits of Atropa belladonna)” Photo/Krzysztof Ziarnek, Kenraiz [CC BY SA-4.0 via Wikimedia Commons]
黒い果実、葉や根に含まれるヒヨスシアミン(Hyoscyamine)は猛毒とのことですが、局所麻酔、中枢神経興奮作用のある薬剤としても利用され、服用すると瞳孔を拡大させる効能があることから眼科の治療にも用いられるとのことです。大きな瞳で妖艶な美しさをふりまき、男たちを魅了する悪女といったところでしょうか。
同じ品種名、別のバラ
“妖しい”、したがって”魅惑的な”名前のためでしょうか、同名・異種のバラがいくつかあり、それほどポピュラーではありませんが、流通しています。
- 中輪、白花のチャイナローズまたは花が大きいのでティーローズとされることも。1828年以前、イタリアのジオヴァンニ・カサレッティ(Giovanni Casoretti )が育種・公表
- 大輪、白花のケンティフォリア、1593年ころには知られていた。育種者は不明
- 中・大輪、モーヴ(藤色)、ロゼッタ咲きのシュラブ、2010年、日本の岩下篤也氏作出、”アンダー・ザ・ローズ”シリーズの一品種
- 大輪・パープリッシュな深紅となるHT、2023年、スイスのリハルト・フーバー(Richard Huber)が育種・公表
- アルバの基本的な品種であるメイドンズ・ブラッシュ(Maiden’s Blush)は、ベラ・ドンナという別名で呼ばれることもあります