どんなバラ?
11㎝から13㎝径、26から40弁ほどの大輪、カップ型のロゼッタ咲き。花芯に色抜けした小さな花弁が残り、緑芽となることもあります。
花色はミディアム・ピンク、開花当初は強めに色が出て、ストロング・ピンクとなることが多いようです。
マイルドな香り(中香)。
たまご形のつや消し葉、120㎝から250㎝高さほどの中型のシュラブ。
まちまちな品種名
この美しい品種は当初’ヌーベル・ガニュ(Nouvelle gagné:新たな勝利者)’とされていました。
しかし、やがて’レーヌ・デ・サンフューユ(Reine des Centfeuilles:ケンティフォリアの女王)’、’ド・ラーグ(de la Hague:ハーグ由来)’というよく似たケンティフォリアが出回るようになりました。
後述するように、これらの品種は実際には同一品種であろうと解釈され、現在、一般的には”レーヌ・デ・サンフューユ(”ケンティフォリアの女王”)と呼ばれるようになりました。
育種者、育種年など
現在、受け入れられている解釈
ドイツのシュヴァルツコフ(Daniel August Schwarzkopf)により育種され、ヌーベル・ガニュ(Nouvelle gagné)と命名されて公表されました。1808年には市場に出まわるようになっていたことが文献から知られています。その後、レーヌ・デ・サンフューユという別名で流通するようになりました。正確な育成年は不詳、交配親の詳細も不詳のままです。
育種者、年などの現在説の根拠
オーグスト・シェルハウゼ(August Schelhase)が1808年に提供した『Verzeichniß (商品リスト)』に掲載されているバラ・リストのなかにシュワツコフが育種したバラと思われるバラのリストがあり、そのなかのひとつにヌーベル・ガニュ(Nouvelle gagné)がある。
1815年、ボタニカル・アーティストであるサルモン・ピナス(Salomon Pinhas)はバラのイラスト集『Rosen-Sammlung zu Wilhelmshöhe(ヴィルヘルムショーンにのバラコレクション)』にプルプル・シャルマンを掲載している。


アルディによる違名品種の同定
マダム・アルディの育種で名高いジュリアン・アレクサンドル・アルディ(Julien-ALEXANDRE Hardy)は1837年に公表した『リュクサンブール公園バラ・カタログ(Catalogue of Luxembourg RosesBook )』のなかで、
ヌーベル・ガニュ(Nouvelle gagné:新たな勝利者)
レーヌ・デ・サンフューユ(Reine des Centfeuillesケンティフォリアの女王)
ド・ラーグ(de la Hague:ハーグ由来)
の3品種は同じものの別名だろうと判定しました。この解釈が今日でも正当なものだとされています。