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バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

メイドンズ・ブラッシュ(Maiden’s Blush)- alba

メイドンズ・ブラッシュ(Maiden's Blush)

メイドンズ・ブラッシュ(GMaiden’s Blush)- alba

どんなバラ?

9cmから11cm径、30弁前後の丸弁咲きの花となります。花芯に近い小さな花弁は内側へカールしてシベを覆い、風情があります。
白にピンクの粉をふりかけたような淡いピンクの花が、春いっせいに咲きそろうさまは見事です。
鮮烈に香ります。
くすんだ、しかし、明るい、まるみのあるつや消し葉。120cmから180cm高さのシュラブに育ちます。立ち性ですが、枝は伸びて、花の重さゆえにゆるやかなアーチを描きます。

耐病性、耐寒性、多少の日陰にも耐える最高レベルのオールド・ローズ。多くのバラ愛好家が最高のアルバと評しています。
ラ・バージナル(La Virginale;”乙女”)、ラ・セドゥイザント(La Seduisante;”魅惑”)、インカルナータ(Incarnata;”柔肌”?)、 クィス・ド・ニンフ(Cuisse de Nymphe;”妖精の太腿”)など様々な別名でも呼ばれています。
フランス人のつけたクィス・ド・ニンフという艶な名前は英国人には気に入らなかったようです。英国ではメイドンズ・ブラッシュ(Maiden’s Blush;”乙女の恥じらい”)と呼ぶようになりました。

市場では”グレート・メイドンズ”と”スモール・メイドンズ”の2品種が別品種として出回っていますが、単に”大型樹形”か”小型”かという違いだけだという説(”スモール”は”グレート”からの枝変わり)が主流となっています。実際、”スモール”も大株になることがあるようですので、ここでは二つの品種としてではなく、同一品種であると判断し、単に”メイドンズ・ブラッシュ”と表記することにしました。

育種者、育種年など

アルバの古い品種のひとつであり、いつの時代からとも特定しかねるほど、古い時代から存在していました。

文献上で、メイドンズ・ブラッシュであると特定できる最初の記述は、ジョン・ジェラード(John Gerad:1545 – 1611 or 1612)が1597年に刊行した大著『薬草誌または植物概説(The Herball or Generall Hiftorie of Plantes);通称”ジェラードの本草書”』の中での”ホワイト・ローズ”としての記述だと思われています。

ホワイト・ローズ_ジェラードの本草書

一般的なダマスクローズは、樹高、棘のある枝、その他の点で(この)ホワイトローズに似ています。主な違いは花の色と香りにあります。ダマスクローズの花は淡い赤色で、より心地よい香りを持ち、食用や薬用として適しています。

薬草誌、または植物概説、1597年

ジョン・ジェラードはロンドンの床屋兼外科医として生活の糧を得ていましたが、植物学を独学で修得し、自宅庭園で蒐集した多くの植物を栽培していました。
その成果が『ジェラードの本草書』でした。

ジェラードにはいくぶんか虚言癖があったようで、船医として世界中を航海し植物採集を行ったと公言していた(実際は北海で一度だけ船医の経験がある)とのことです。(Wikipedia等)

ジョワイヨ教授による解説

敬愛するジョワイヨ教授(Prof. François Joyaux)による解説が秀逸ですので翻訳(by Google 一部修正)でご紹介します。

クィス・ド・ニンフ(Cuisse de Nymphe)
別名:Rosa x alba ‘incarnata’、Rosa x alba ‘regalis’ Thory、Rosa carnea、’Grande Royale’、’Grosse Cuisse de Nymphe’、’Rosier blanc royal’、’Great Maiden’s Blush’(英国)
高さ2mほどの低木で、枝分かれがよく、花の重みで枝が垂れ下がる。トゲは少なく、葉は青緑色で、小葉は卵形で尖っている。ダブル咲きで大輪、カップ型。(フランスでは)6月に開花し、返り咲きはない。肉色の白色で、縁はやや淡い色をしており、強い芳香がある。

…古くから、園芸店では’クイス・ド・ニンフ・エミュ(Cuisse de Nymphe émue)’(別名’ニンフ・ネヌ・エミュ(Nymphe naine émue)’、または’プティット・アングレーズ(Petite anglaise)’も販売されている。この品種の特徴は、よりエミュー色(乳白色)のバラ、つまり縁の色が薄いためより(花芯が)濃い色であると言われている。
しかし、色は土壌や気候に大きく左右されるため(個人の好みはさておき)、この点については議論の余地があるだろう。簡単に言えば、これはおそらく1797年にキュー・ガーデン(英国)で選抜されたクローンで、背丈の低い品種の例が残されている。しかし、園芸業者にとっては不満ではあるが、販売市場では’Cuisse de Nymphe’と’Cuisse de Nymphe émue’とは長い期間混同されてきた。

オールドローズ新百科(Nouvelle encyclopédie des Roses anciennes)、2005

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