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バラ、特にオールドローズが好きで名前の由来や育種の経緯などを調べています。
宿根草や葉色が美しい草花や灌木などをアレンジしたバラ咲く庭を愛でるのも長年の夢です。

ロサ x フランコフルターナ(Rosa x francofurtana)- species cross

ロサ・フランコフルターナ(Rosa francofortana)

Photo/Rudolf [CC BY SA-4.0 via Rose-Biblio]

ロサ x フランコフルターナ(Rosa x francofurtana)- species cross

どんなバラ?

細く長い萼弁に隠れるような蕾、開花すると、一般的には赤花とされていますが、実際には深いピンクとなる花色。7cmから9㎝径、25弁ほどのオープン・カップ型または丸弁咲きとなります。一度くしゃくしゃにしてから改めて開いたような乱れがちな花弁、野趣を感じさせます。香りはわずか。
明るい色調のつや消し葉が美しい、トゲはまばら、200cm高さを超えることが多い大型のシュラブになります。

育種者、育種年の由来など

ガリカなどの原種がベースとなって、自然交配により生じた原種交配種とみなされています。そのため、古い由来のものだということは明白ですが、いつから存在しているのかはわかりません。

英国チャールズ1世治下で活躍し、王室主席植物学者という名誉称号を獲得したジョン・パーキンソン(John Parkinson:1567 – 1650)が1629年に公刊した『Paradisi in Sole Paradisus Terrestris;”陽のあたる楽園、地上の楽園』のなかでロサ・フランカフルテンシス/ザ・フランコフォード・ローズ(Rosa Francafurtensis/The Franckford Rose)としての記述が確認できる文献上の初見です。

このバラの若い枝は、淡い紫色の樹皮に覆われ、毛のような小さなトゲが多数生えています。
成熟した枝にはトゲはほとんどありません。花自体には、他のどのバラよりも大きなツボミがあり、赤いバラのように(ガリカのこと?)厚く二重になっていますが、ツボミが強く膨らむため、満開になる前に折れてしまうものも多くあります。
花は淡い赤色、つまり赤とダマスク(ライト・ピンク色)の中間のような色をしており、中央には短い黄色の糸状の突起が密集した非常に厚く幅広で硬いツボミ(シベのこと?)があります。花のツボミは長く先端が伸び、これを「バラのひげ」と呼びます。他のバラではこのひげは束になっているものもありますが、このバラには全くありません。その香りは赤いバラ(ガリカのこと?)に最も近い。

Paradisi in Sole Paradisus Terrestris, 1629

ロサ x フランコフルターナにはガリカやダマスクなどとは異なる葉、茎などの特異性があり、多くの研究家たちがそれぞれ違った見解を述べています。ここでは、オールドローズについての重鎮、グラハム・S・トーマスとフランソワ・ジョワイヨ教授のふたりに登場願いましょう。まずはトーマス氏から、

アガタ・ローズ(R. francofurtana )は、おそらくロサ・キナモメア( R. cinnamomea ;シナモン・ローズ- 北欧、シベリア地方産の原種)と ガリカ(R. gallica) の交配種と思われる興味深いハイブリッドだ。
皇后ジョゼフィーヌにちなんで名付けられたバラは、いずれもこの品種の後に作出されたもので、ハイブリッド・パーペチュアル、チャイナ、ブルボンといった品種だ。
(この品種には)ほとんどトゲがありません。’エンプレス・ジョゼフィーヌ’は香りがやや弱いですが、’アガタ’は他の品種に劣らず芳醇で力強い香りを放つ。

“Graham Stuart Thomas Rose Book”, 1994

ROSA x FRANCOFURTANA(Münchhausen 1774年、Thoryではない)。
別名:Rosa campanulata、Rosa francofurtensis、Rosa germanica、Rosa turbinata、Rose de Francfort、Rosier turbiné、Tapetenrose(ドイツ)、Valamo(フィンランド)

樹形:最低1.20m~1.50m。直立し、かなり丈夫な枝には、少数の大きな棘が不規則に生えている。木部は茶褐色。葉:淡い色。3枚、5枚、多くは7枚の楕円形で葉脈がはっきりと見える小葉。大きな托葉を持つ。花:まれに単生、多くは2~6輪、最も多いのは3輪の房咲き。中型、一重咲き、平たい形。花弁は8~10枚で2段に並び、中央の花弁は小さく、時に形が崩れる。花色:チリアンピンク、中央の小さな花弁に白い筋が入る。香り:ほのかな香り。果実:ターニップ状(円錐形)で、オレンジレッド色、萼片が残る。ロサ・ガリカの果実によく似ている。

…1774年、オットー・フォン・ミュンヒハウゼン(1716-1774)は、このバラに現在の学名であるRosa x francofurtanaを命名した。…一部の研究者は、「アガサ」や「インペラトリス・ジョゼフィーヌ」といった「アガテ(アガタ)」と呼ばれるバラはRosa x francofurtanaに由来すると考えているが、一方で、センティフォリアやダマスクローズの影響を指摘する研究者もいる。

Francois Joyaux ”La Rose de France”,1998

実はフランクフルターナ、フランクフォルトと呼ばれる品種の区分には極度の混乱があり、現在でも整理できない状況にあります。
ここでご紹介した、ロサ x フランコフルターナによく似た品種、ロサ x フランコフルターナ・アガタ(Rosa x francofurtana agatha)という品種があります。おそらく’agatha’は本来はここでご紹介したフランコフルターナから生じた別の品種だったのだろうと思われますが、現在では混在してしまい、実際にはどちらに分けるべきなのかはわからなくなってしまいました。

品種名の由来など

ロサ・クロス・フランコフルターナは、1583年にカロルス・クルシウス(Carolus Clusius:1526-1609)が公刊した園芸書、”Rariorum stirpium per Pannonias observatorum Historiae”に”Rosa sine spinis(トゲなしバラ)”という名称で記述され、また、クルシウスがフランクフルトのとある庭園で見たとして改めてロサ・フランコフルターナという名称で紹介したことに由来しています。

ロサ・フランクフルターナは当初は原種のひとつとされていましたが、リンネなどにより”自然交配種”であろうと判定され、”x(クロス)”が付され、ロサ・クロス・フランクフルターナと呼ばれることになりました。
要は、”フランクフルトのアガタ”とは、フランクフルト・ローズと同系列の”アガタ”だということです。
ロサ・クロス・フランコフルターナ・アガタ(R. x francofurtana Agatha)と表記すると由来や性質をすぐに思い起こせるので便利かもしれません。

バラの画家・ピエール・ジョゼフ・ルドォウテ(Pierre Joseph Redoute)は、’ROSA TURBINATA’(フランコフルターナの別名) というタイトルで美しい植物画を残しています。

Pierre Joseph Redoute 'ROSA TURBINATA'
Pierre Joseph Redoute ‘ROSA TURBINATA’
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