ロサ・ケンティフォリア・ムスコーサ(Rosa Centifolia muscosa)- moss
どんなバラ?
9mから11cm径、深いカップ型、ロゼッタ咲きの花形。
マジェンダの色合いが加わった、ミディアム・ピンク、深みのある色合いです。
強く香ります。
幅広で丸みを帯びた、大きめの明るい色調ながら、くすんだ葉緑。120cmから180cm高さ、立ち性のシュラブとなります。枝はするすると伸びるもののシュートがなかなか発生せず、充実した株に育つまでしばらく辛抱が必要です。
耐寒性もあるすぐれた品種ですが、温暖な気候のもとではより旺盛に生育することで知られています。
育種者、育種年など
ケンティフォリア・ムスコーサはケンティフォーリアの枝変わりとして17世紀末、フランスで発見されました。見出した人物は不明です。このケンティフォリア・ムスコーサが最初のモスローズとされています。つぼみをおおう苔のように密生した細かいトゲが大きな特徴です。
「多くのモス品種がこの品種の後育種されたけれども、ひとつとして、このコモン・モスの美しさを超えたものはなかった…」と著名なバラ研究家、グラハム・S・トーマスは著書『ジ・オールド・シュラブ・ローゼズ(The Old Shrub Roses)』の中で語っています。
アメリカのリチャード・トムストン(Richard Thompson)も著作『オールド・ローゼズ・フォー・モダン・ガーデンズ(Old Roses for Modern Gardens)』のなかで、
「この美しさを凌駕できるモスローズはない…」と記述しています。
最初のモス・ローズは、最高のモスローズであり続けています。今日でも、この至言はそのまま繰り返してよいのではないでしょうか。
グラハム・S・トーマスが上記の著作のなかで英国の植物学者チャールズ. C. ハースト博士(Dr. Charles Chamberlain Hurst: 1890-1947)が1941年に公表した論文『庭植えバラの起源と発展についての覚え書き (Notes on the Origin and Evolution of Our Garden Roses)』のなかでのモスローズの起源に関する論述を引用しています。孫引きになりますが、素晴らしい解説です。
…しかしながら、デュカステル(1746年)の記述(パケ(1845年)およびジャマンとフォルニー(1873年)によって引用されている)には、南フランスのカルカソンヌにモスローズが存在していたことを、1696年という早い時期に詳細に記した記述があり、これがモスローズの存在を示す最も古い記録であると思われる。この記述によれば、百葉モスローズは1746年にはコタンタン、メッサン、マンシュ地方で栽培されており、カルカソンヌで発見したフレアール・デュカステルによって持ち込まれたという。カルカソンヌでは、モスローズは半世紀前から知られていた。
モスローズに関する最初の植物学的記述は、ボアハーヴェ(1720年)がライデン薬草園で栽培された植物の索引の中で、Rosa rubra plena spinosissima, pedunculo muscosa という名前で記載したものと思われる。1724年には、モスローズはロンドンで栽培されていたとされ、ミラー(1724年)は、ロバート・ファーバーのケンジントンで販売されている栽培植物カタログにモスローズが掲載されていると述べている。ミラー(1760年)は、モスローズを初めて見たのは「1727年、ライデン近郊のボアハーヴェ博士の庭で、博士は親切にも私に株を1本くださった」と述べている。
…モスローズの起源をさらに裏付ける興味深い事実として、1788年から1832年の間に出現したオールド・モスローズの12種類の異なる蕾の変種が、1637年から1813年の間に出現したオールド・キャベツローズの12種類の蕾の変種と完全に一致することが挙げられます。両者の唯一の違いは、「モス」という要素の有無だけだ。これは、「モス」という要素の有無を除けば、あらゆる点で両者の構成要素が同一であることに起因すると考えられる…
Dr. Charles Chamberlain Hurst: 1890-1947)『庭植えバラの起源と発展についての覚え書き (Notes on the Origin and Evolution of Our Garden Roses)』

