アリウム(Allium:ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属)
アリウムは、花ネギという別名で呼ばれることもあります。野菜の長ネギ、タマネギなどと同属の植物です。葉や鱗茎を食用に供すれば野菜。いわゆる”ネギ坊主”と呼ばれる球状あるいは傘状に密集した花序を鑑賞するのが園芸種ということになります。
園芸種は株幅があまり出ないことが多く、庭などの植栽する際にはコンパニオンプランツとともに植え込むことをお勧めします。宿根草などが茂るなかから、アリウムの花茎だけが直立して伸びる様子は庭のフォーカル・ポイントとなり、春の庭の華やかに飾ってくれます。
しかし、人気があり、よく植栽される園芸種のギガンテウムなどは千葉北西部では植えっぱなしのままでの夏越しはむずかしい(腐ってしまう)というのが現実です。以下では代表的な品種の耐暑性についても簡単に触れることにします。
なお、ここでは、ネギ、タマネギ、ニンニクやエシャロットなどのいわゆる野菜ネギには言及しませんが、花を鑑賞することもあるチャイブのみ夏咲きアリウムのひとつとしました。
- 学名:ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属(Allium):球根多年生草本
- 別名:花ネギ、ジャイアント・オニオン(大型種のとき)など
- 花色:ライトブルー、薄紫(藤色)、紫、赤紫、白など
- 花期:5月上旬~9月上旬(多くは5月上旬から6月上旬)
- 原産地:北半球の温暖地域にひろく分布
- 草丈x株幅:30~200cmx20~60cm、品種により変化があります。
アリウム(Allium)という学名の由来
ニンニクのラテン語Alliumがそのままネギ属全体を表す原種名となりました。
園芸種
春咲きアリウム
ギガンテウムなど、5、6月に開花する春咲きアリウムは、花茎を伸ばす季節になると葉が枯れこみはじめ、休眠期が近くなると花茎だけが地上部の残るといった例が多いです。
そのことから、春咲きアリウムを庭植えする際にはコンパニオンプランツとともに植え込み、寂しげになりがちな株元をカバーしてあげる必要があると思います。

A. ギガンテウム(A. giganteum)
直径10〜20cmほどの丸いボール状の花序になります。花色は主に赤紫。春咲き大型種の代表的な品種で、いちばん人気の品種です。
しかし、関東南部では植えっぱなしでは夏越しがむずかしく、翌年の開花をめざすには、地上部が枯れこんで休眠期に入る8月から9月に堀りあげ冷暗所保管が必要となります。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅: 80~120cm x 20~30cm
AGM*
*AGM(Award of Garden Merit by the RHS)は英国王立園芸協会がガーデニングに有用であると認定する制度です。

A.クリストフィ・’スターオブペルシャ’ (A. cristophii ‘Star of Persia’)
草丈はずっと低いですが、ギガンテウムと同様、20cm径を超えるほどの大玉の花序となります。
花序は少し散形気味となり、星型の小さな花が散りばめられたようになります。その花形が、夜空に星が煌めいているかのような印象を受けます。
‘スター・オブ・ペルシャ’という呼び名はまことにふさわしいと思います。
ギガンテウムと同様、関東南部では8月から9月の休眠期に堀りあげ冷暗所保管が必要。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅:40~60cm x 15~25cm

A. ホランディカム ‘パープルセンセーション’(A. hollandicum ‘Purple Sensation’)
花球は8cm径前後と、ギガンテウムに比べれば小球ですが、草丈はギガンテウムよりいくぶんか小さい程度です。花色は鮮やかな紫となり、群生すると庭を華やかに彩ります。
ギガンテウムとともに庭植えによく用いられる大型種です。この品種も関東南部では8月から9月の休眠期に堀りあげ冷暗所保管が必要となります。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅:80~100cm x 20~30cm

A. カエルレウム(A. caeruleum)
3cm径ほど小球ですがシルバーブルーの花色がとても美しい品種です。この品種も関東南部では8月から9月の休眠期に堀りあげ冷暗所保管が必要。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅:60~80cm x 15~25cm
AGM

A. 丹頂(A. sphaerocephlum ‘Tancho’)
こじんまりとした草丈ですが、花茎だけが60㎝高さほどに伸び、小さなうずらの卵のような花序をつけます。花色は赤紫、開花始めには下部に緑色が残りますが熟成すると赤紫へと移ってゆきます。
和名の’丹頂’はこの品種の印象をうまく表現していると思っていますが、英名の’ドラムスティック’という呼び名がドンピシャでおかしいくらいです。
耐寒性、耐暑性に優れ、関東南部でも植えっぱなしでもよく夏越しする強健種です。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅:40~60cm x 5~10cm
AGM

A. モーリー(A. moly)
花径は5cm径ほど、球状となならず傘状花序となります。鮮やかな黄色に染まる花色はアリウムとしては例外的なものです。
草丈が低いのでボーダーガンデンなどでは前の方に植栽するとよいと思います。
この品種も’丹頂’と同じように植えっぱなしでの夏越しが期待できます。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅:20~30cm x 15~25cm
AGM

A. サマードラマー(A. ‘Summer Drummer’)
春咲きアリウムに一般的に言えることですが、秋口に植えこむと、初冬には葉を伸ばしはじめ緑の葉を保ったまま越冬することが多いです。
アリウムの中でもとりわけの大型種であるサマードラマーは、冬の間でも60cmほどの草丈となって年を越えます。5月に入ると花茎が生じ、ぐんぐん伸びてときに200cmほどとなり先端に小さなタマネギのようなツボミが形成されます。ツボミは6月になってからようやく開花し10cm径ほどの白花/淡い藤色の球状輪花となります。
冬枯れの庭を緑の葉で飾ってくれるという意味でも有用な品種だと思います。
開花時期:6~7月
草丈 x 株幅:150~200cm x 20~30cm
夏咲きアリウム
シベリア地方を原生地とする夏咲きアリウム、A. ヌタンス(A. nutans)などを交配親とした7月から9月に開花する夏咲きアリウムが出回るようになりました。いずれも貴重な夏咲き球根ですし、植えっぱなしでも越冬することが多いと報告されています。園芸愛好家にはうれしいニュースです。
一般的にはキッチン・ハーブとされているチャイブも夏咲きアリウムの一品種としてリスト・アップしました。野菜ネギのアサツキ(浅葱;Allium schoenoprasum var. foliosum)も実はチャイブの変種ですので、耐暑性、耐寒性にすぐれた夏咲きアリウムの一品種としてもよいと思います。スーパーなどで根付き(球根状の鱗茎)のものが販売されてるのを見つけることがあれば、購入して庭植えしてみたらいかがでしょうか。葉を食用として収穫するもよし、刈り取らず、花を愛でてもよしという汎用性があります。

A.サマービューティー(A. ‘Summer Beauty’)
夏咲きアリウムは一般的には冬季には休眠状態にあり、春になってから幅狭の剣状葉を伸ばします。
7、8月に花茎が生じて5cm径ほどのチャイブに似た淡い藤色の球状花を咲かせます。ギガンテウムなど大型の春咲き種は盛夏になると休眠して、地上部が枯れこみますが、この’サマービューティ’などの夏咲き種は緑葉が9月ころまでと比較的長く残ります。
開花時期:7~8月
草丈 x 株幅:30~50cm x 20~40cm
AGM

A. ミレニアム(A. ‘Millenium’)
A. ミレニアムもサマービューティと同様、開花が終了しても秋口まで緑葉が残り、盛夏の庭に彩りを添えてくれます。サマービューティとの比較では、花色はより濃く、草丈もより大型という違いがあります。
開花時期:7~8月
草丈 x 株幅:30~40cm x 40~50cm
2018 Perennial Plant of the Year*
*”Perennial Plant of the Year(年間最優秀宿根草)とは、大学教授、植物育種家、造園家、ガーデンセンター経営者、植物栽培業者、園芸家、公共庭園のキュレーターなど園芸に携わる専門家数百人の投票により、一年間に一品種だけが選ばれる名誉ある顕彰です。

チャイブ(chives;学名 A. choenoprasum var. schoenoprasum)
チャイブはおもにキッチン・ハーブとして利用されています。4月ころ種まきすると同年の8月には葉を収穫できることが多いですが、葉の収穫を控えるとライトピンクの花を鑑賞することが可能です。
耐寒性、耐暑性にすぐれた非常に強健な品種です。庭植えすると、植えっぱなしで放置していても子球が出来てどんどん増殖し、数年経過するとみごとに群生するようになります。
開花時期:8~10月
草丈 x 株幅:30~40cm x20~30cm
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