イポリート(Hippolyte)- gallica
どんなバラ?
7cmから9cm径、カップ型・ロゼッタ咲き、花芯に緑芽ができることの多い、いかにもオールド・ローズらしい花形です。
ヴァイオレットあるいはパープルと表現するにふさわしい、深い色合いの花色ですが、花弁の基部が白く色抜けし、そのため、中心部に白い斑点模様がでることがあります。
軽く香る程度という記事が多いのですが、経験している限りではかなり強く香るように思っています。
卵型のつや消し葉。コゲ茶色の剛毛のようなトゲが密生する株肌、ガリカとしては例外的な大きさとなる、立ち性の120cmから180cm高さのシュラブとなります。
しばしば、もっとも完成されたガリカであると記述される、美しく、また、耐寒性、耐病性をそなえた品種です。
ただ、全体としては、ガリカの特徴を示していますが、樹形が比較的大きいこと、また、ケンティフォリアのように花弁が密集した花形になる等、典型的なガリカとは言えない特徴も備えており、交配には他のクラスに属する品種が使われたのではないかと言われています。
育種者・育種年など
1847年に発行された『故ルイ・パルマンティエ氏が収集した貴重なバラコレクションのカタログ(Catalogue de la riche Collection de Rosiers, formée par feu M. Louis Parmentier)』にリストアップされているので、育種者はパルメンティエであることが明らかです。
しかし、それ以前の1842年には、園芸家ルイ・ヴァン・ユウテ(Louis van Houtte:1810-1876)が残した文献に品種名が記されているとのこと。(”La Rose de France”)ルイ・パルメンティエが生前公開した数少ない品種のひとつであることがわかります。
品種名の由来など
イポリートは、現在でも使われている女性名ですので、この品種が特定の人物に捧げられたものと考えることも可能ですが、おそらくギリシャ神話に登場する女戦士アマゾンの女王イポリートにちなんで命名されたものだろうと考えられています。
神話には異説もありますが、一般的には次のような話が伝えられています。英雄ヘラクレスが登場します。

ヘラクレスは、自らに課された難題をつぎつぎに解決してゆきます。
第9の偉業が、アマゾン族の女王イポリートが持つアレスの帯を手に入れることでした。
筋骨たくましいヘラクレスを見たイッポリートは、二人の間に子孫を残すことを約束してくれれば、帯を渡そうと約束します。しかし、ヘラクレスを忌み嫌う、女神ヘラは、ヘラクレスが女王をかどわかそうとしているという風聞を流したため、怒ったアマゾン戦士はヘラクレスを襲撃します。
しかし、ヘラクレスはひるむことなく剛勇をふるい、アマゾン族を打ち倒してしまいます。ヘラクレスは、激昂にまかせてイッポリートのガードルを奪い非情にも陵辱したうえで、ともに戦ったアテネ王テーセウスに与えました。イッポリートはテーセウスとの間に子をもうけたと言われています。
(註:この品種はなぜか『1990年アンギャン考古学会報』にリスト・アップされたルイ・パルメンティエ106品種に含まれていませんでした。著名な品種ですのでパルメンティエが育種した品種として登録しました)

