Photo/Salicyna [CC BY SA-4.0 via Wikimedia Commons]
ルストル・デグリーズ(Lustre d’église)/デュセス・ドルレアン(Duchesse d’Orléan)
どんなバラ?
7cmから9cm径、40弁を超えるロゼッタ咲き、花芯に緑芽が出来ることが多い花形。
花色はストロング・ピンク、外輪は明るく色抜けし、グラデーションの効果が生じます。
香りは中程度。
少し小さめの楕円形、深い色合、表皮が縮み気味のつや消し葉、細いけれど固めの枝ぶり、150cmから180cm高さのシュラブとなります。
品種名の由来など
1792年刊行されたオランダのフォアヘルム&シュネーヴォクトが発行した園芸植物カタログ『Catalogus of Dutch Flower-Roots and Plants from Voorhelm & Schneevoogt』にリストアップされていたことがこの品種の文献上の初見です。(下図、左上)
1818年に刊行されたシャルル・マロ(Charles Malo)著『Histoire des roses』1818年版(下図右)にはイラスト付きで紹介されています。


ルストル・デグリーズとは「教会のシャンデリア」という意味です。
オランダ由来であることは分かっていますが、同地で育種されたのか、中東などからの輸入品種であったのかは不明です。
品種名があまりパッとしなかったゆえか、19世紀中ごろから’オルレアン公爵夫人(Duchesse d’Orléans)’という品種名で市場へ出ることが多くなりました。
しかし、現在、おもに’デュセス・ドルレアン(Duchesse d’Orléan)’の名で出回っている実株は完成された美しさゆえか、古い由来のルストル・デグリーズとは本来別の品種で、19世紀にはいってから名前も実株も別品種に入れ替わってしまったのではないかという疑念も生じているようです。
デュセス・ドルレアン(Duchesse d’Orléan)とはどんな人物?

デュセス・ドルレアンは平等公フィリップ2世の公妃ルイーズ・マリー・アデライード・ド・ブルボン=パンティエーヴル(Louise Marie Adélaïde de Bourbon-Penthièvre:1751-1821)のことだと思います。
公爵夫人はフランス革命時代には夫フィリップ2世の刑死に遭ったり、家族とともに亡命などを繰り返すなど辛苦をなめました。
19世紀中ごろ、公爵夫人の長男ルイは、フランス王ルイ・フィリップ1世として王位にあった時代(1830 – 1848)でした。長い期間ではありませんでしたが、オルレアン家の栄光の時代だったと言えるでしょう。
そんな背景があり、この美しい品種を王の母にちなんで改名したのではないかと思っています。


