ベル・イジス(Belle Isis)- gallica
どんなバラ?
飾りつけたような萼片に包まれていたつぼみは、開花すると7cmから9cm径、カップ型、ロゼッタ咲きの花形となります。花芯に緑芽ができることもあります。
淡いピンクの花色。花弁の外縁はほとんど白と言ってよいほど色褪せます。
ミルラ系の香りの典型とされる蟲惑的な香り。
明るい色合いのつや消し葉。葉色、細いけれども固めの枝ぶり、大きさがまちまちなトゲが目に付く、立ち性の高さ90cmから120cm高さのシュラブとなります。
経年するとこんもりとよく整った樹形となります。庭をバラで飾る最良のバラのひとつといっても過言ではないと思います。
育種者、育種年など
1847年に発行された『故ルイ・パルマンティエ氏が収集した貴重なバラコレクションのカタログ(Catalogue de la riche Collection de Rosiers, formée par feu M. Louis Parmentier)』にリストアップされているので、育種者はパルメンティエであることが明らかです。
今日、交配親の詳細を調べることは困難ですが、澄んだ淡いピンクの花色、ミルラ香と呼ばれるバラとしては例外的な香り、株肌に生じる多くのトゲなどは典型的なガリカの特徴とは異なるものです。そのためバラ研究家から次のような疑問が出されることとなっています。
- 「ケンティフォリアの影響があるではないか」…”Graham Stuart Thomas Rose Book”
- 「エアシャー・スプレンデンス(ミルラ香バラ)が交配に使われたのではないか」…”David Austin English Roses”
- 「ガリカとしては例外的なほど明るい色合いの葉」…”The Ultimate Rose Book”
イングリッシュ・ローズの交配親
デービット・オースチンはこのベル・イシスを交配親として最初のイングリッシュ・ローズ、コンスタンス・スプライ(Constans Spry)を育成し、その後、輝かしい名声と栄光を手に入れました。

品種名の由来など
イシスはエジプト神話に登場する女神です。よき妻、よき母として、また豊壌を象徴していることから、エジプトからギリシャ、ローマへ伝えられ信仰の対象となりました。
オシリスとセトは兄弟でしたが、セトは兄を殺害してしまいました。
オシリスの妹でかつ妻であったイシスはオシリスを魔術により復活させて冥界へ送るとともに、オシリスとの間の息子ホルスを育てあげました。成長したホルスは左目を失うという傷を負ったものの、激しい戦いの末に仇敵セトを打ち倒しました。

ホルスはイシスに抱かれているときは幼児の姿ですが、成長した後は鷹の頭を持つ神として描かれています。エジプトの王ファラオはホルスの化身とされ、争いの際に失われた左目はホルスの目として、邪悪なものを除く魔除けとされました。
イシスが幼子ホルスに乳を与える像はローマで広く信仰をあつめ、それが時代を下って、聖母マリアと幼子イエスの像の原型になったと言われています。


