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バラ、特にオールドローズ、ランブラーが好きです。
バラの体系的な整理を行いながら、品種名の由来や込められた思い、あるいは背景となった物語、また、育種者が生きた時代の背景などへの想像をふくらませる作業などを積み重ねています。
バラと宿根草や、葉色が美しいリーフプランツや灌木などを配置したバラ咲くコテージガーデンの作庭も長年の夢です。
毎年、晩秋には、来る春の植栽をどうするか、新しいバラや宿根草を迎えたり、アレンジを見直すなど心弾む毎日です。

ここでまとめた記事が少しでも園芸愛好家のお役に立つことがあれば、管理者の一番の喜びです。

トスカニー(Tuscany)- gallica

トスカニー(Tuscany)

トスカニー(Tuscany)- gallica

どんなバラ?

7cmから9cm径の、丸弁咲きの花形となります。
非常に濃いヴィオレットの花色、中心部の黄色の雄しべとのコントラストが鮮やかです。
スパイシーな強い香り。
くすんだ深い葉色、細く、固めの直立性の強い枝が繁茂する独特の樹形です。90cmから120cmのコンパクトなシュラブとなります。一部に200cmを越える大株になることがあるという記述(Francois Joyaux, “La Rose de France”)もありますが、まだこの品種の大株には出会ったことはありません。

品種名の由来など

古くはベルベット・ローズと呼ばれていたようですが、イタリア、トスカーナ地方特産の赤ワインを思わせる花色からでしょうか、19世紀にはトスカニーと呼ばれることが一般化したようです。
非常に古い由来の品種でガリカ原種に近いのではないかと言われています。16世紀のイングランドのハーブ槐集家であった、ジョン・ジェラルド(John Gerard:1545-1611)が作成した1597年発行のリストにはジ・オールド・ベルベット・ローズ(the old velvet rose)のことが詳しく記載されていますが、このトスカニーのことであろうと考えられています。(異説もあります)

The Veluet Rose, from "Herball, Generall Historie of Plants", by John Gerard, 1957

左:ジョン・ジェラルドが記載したザ・ベルベット・ローズ

The Veluet Rose, from “Herball, Generall Historie of Plants”, by John Gerard, 1957;
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いかにも古い由来のように思えますが、実はいや、それほど古くない!という説もあります。次のようなものです。

1820年、シデンハム・エドワード(Sydenham Edwards)が公刊した園芸誌”The Botanical Register: Consisting of Coloured Figures of Exotic Plants Cultivated in British Gardens”に記載された”The Double Velvet Rose”こそが現在トスカニーとして流通している品種ではないかという説です。

The Double Velvet Rose from "The Botanical Register" by Sydenham & Lindley, 1820

左:シデンハム・エドワードが公刊した園芸誌”The Botanical Register”(1820)に記載された”The Double Velvet Rose”:(The Double Velvet Rose from “The Botanical Register” by Sydenham & Lindley, 1820, tab. 448 “:
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この品種の美しさ、貴重さにはなんの影響もないのですが、1597年にすでに知られていたのか、あるいは1820年に出回っていたものなのか、おそらく”解けない謎”として残されてゆくのだろうと思います。
とくに根拠はないのですが、開花している株の様子はいかにも古い雰囲気を醸し出していると感じます。16世紀には知られていた、に一票を投じます。

トスカニー・サパーブ(Tuscany Superb)~枝変わり種

トスカニー・サパーブ(Tuscany Superb)

トスカニーには’トスカニー・サパーブ(Tuscany Superb)’という枝変わり種があり広く流通しています。”サパーブ”は”トスカニー”を超えるものという意味になります。

1837年以前、イングランドのウィリアム・ポール(William Paul)により見出され、市場に公表されたと言われていますが、古い時代のことゆえ異説もあり不確かなままです。

トスカニーと大きな違いはないのですが、花色はトスカニーが赤みを含んだバーガンディ気味なのに対しこのサパーブはパープル気味、香りはサパーブのほうが強めといったところが違いです。

株が充実してくると細い枝が繁茂するブッシュとなり、花のない時期でも樹形の美しさを堪能できる品種です。年を経ると大株となり、小さめのクライマーとして利用できるという記述(John Scarman, “Gardening with Old Roses”)も見受けます。

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