チョウジソウ/丁字草(Amsonia elliptica)とは?
チョウジソウ(丁子草)は冬季落葉タイプの宿根草です。冬に入ると地上部は落葉します。
春は地際から新芽が立ち上がり、やがて枝の先端に花芽を形成し空色の美しい小花が群れ咲きます。花後も丸みのある形よい草姿が庭のオーナメントとなり、秋には美しい黄葉が楽しめるなど、利用度の高い園芸植物です。なんといっても丸くボリューム感たっぷりの草姿こそがチョウジソウのいちばんの魅力だと思います。主役を食ってしまう名脇役といったところでしょうか。
かつては北海道から九州など国内各地の河岸などの湿潤地に自生していましたが、造成や護岸工事により減少してしまいました。環境省2025レッドリストでは準絶滅危惧(NT)に指定されています。なお、キョウチクトウ科の植物ですので、全草にアルカノイドを含む有毒植物です。口に入れるなどのことがなければ特に問題はないと思いますが、取扱いには注意が必要です。
- 学名:キョウチクトウ科チョウジソウ属/Amsonia elliptica:多年生草本・冬季落葉
- 別名:アムソニア、日本ブルースター(Japanese Bluestar)
- 花色:ブルー(水色)
- 花期:5月~6月
- 原産地:日本を含む東アジア
- 草丈x株幅:50~75cm丈x30~75cm幅
チョウジソウ/丁字草(Amsonia elliptica)という学名の由来など
学名(Amsonia elliptica)の由来
属名Amsoniaは、アメリカ植民地時代にバージニア州ウィリアムズバーグに住んでいた英国の医師ジョン・アムソン博士 ( Dr. John Amson:1698-1765?) にちなんで命名されました。アムソン医師は熱心な植物愛好家としても知られていました。
種名ellipticaはラテン語のellipse-shaped(楕円形の)に由来するとのことです。(Rob’s plants 閲覧-2026.09.13)
和名チョウジソウ(丁子草)の由来
香辛料として人気のクローブ(英”Clove”)はフトモモ科チョウジ属のチョウジ種(Syzygium aromaticum)の花蕾を乾燥させたものです。チョウジソウの結実は5,6㎝長さほどの長細いもので香辛料としてのチョウジ(クローブ)と似ています。
この類似からチョウジソウと呼ばれるようになったと思われます。


主な原種、園芸種とその特徴
チョウジソウの原種は18種ほど知られていますが、国内を含む東アジア原産が一種、地中海地方に一種、残りはすべて北米原産です。園芸種もありますが、原種そのものが園芸向けにそのまま植栽されていることが多いと思います。園芸に利用されている主な原種はつぎの通りです。

アムソニア・エリプティカ(A. elliptica)
日本など東アジア原産の唯一の品種です。種小名のエリプティカは楕円形という意味すること上でふれました。ヨーロッパ原産種は葉幅が狭く、その対比での命名かと思います。
秋の黄葉の美しさは特質すべきものです。
花色:ブルー(水色)
開花時期:5月頃
草丈x株幅:40~60cm丈x50~80cm幅
原産地:日本、朝鮮半島、中国

アムソニア・ヒュブリクティー(A. hubrichtii)
日本チョウジソウより、少し大きくなることが多い米国産の原種です。極幅狭の葉が特徴的で、”細葉チョウジソウ”という名称で流通しています。
種小名のヒュブクリティーは、アメリカの生物学者レスリー・ヒューブリヒト(Leslie Hubricht:1908 – 2005)が1940年代初頭にアメリカ中西部で自生しているのを発見したことによります。
この品種も秋、黄色気味みの茶褐色に染まりあがる黄葉の美しさで知られています。
花色:ブルー(水色)
開花時期:5月頃
草丈x株幅:60~90cm丈x60~90cm幅
原産地:アメリカ中西部
Plant of the Year 2011 by Perennial Plant Association

アムソニア・タベルナエモンタナ(A. tabernaemontana)
やはり、アメリカ原産種ですが、葉幅が、日本産原種のチョウジソウよりは細いけれど、細葉(ヒュリクティ)よりは広いことから、柳葉チョウジソウという名称で流通しています。
種小名のタベルモンタナは先駆的な薬草研究者であるヤコブ・テオドール・フォン・ベルクツァベルン(Jakob Theodor von Bergzabern:? – 1590)が品種命名の際等に使用したラテン名です。16世紀には知られていたことがわかります。
C.タベルモンタナの黄葉はエリプティカやヒュブリクティーほど美しくないというのが正直な感想です。
花色:ブルー(水色)
開花時期:5月頃
草丈x株幅:40~60cm丈x50~80cm幅
原産地:アメリカ中北部
One of the 75 Great Plants for American Gardens by the American Horticultural Society

アムソニア・タベルナエモンタナ(A. tabernaemontana)’ストーム・クラウド(Storm Cloud)’
アムソニア ‘ストーム・クラウド(Storm Cloud)’は、2011年、米国アラバマの自生地で発見されたタベルエモンタナの茎が真っ黒となる変種もしくはフォーマ(同品種、別形態)です。
最近、日本でも園芸種として入手可能となりました。春、水色の花から黒い茎がうかがい見える様子からは、はっとするほど強い印象を受けます。
花色:ブルー(水色)、黒軸
開花時期:5月頃
草丈x株幅:40~60cm丈x50~80cm幅
原産地:アメリカ中北部
One of the 75 Great Plants for American Gardens by the American Horticultural Society

アムソニア・キリアタ(A. ciliata)
米国各地での自生が確認されているチョウジソウです。幅細葉ですが、ヒュブリクティーよりは幅広で、タベルモンタナよりは細めになります。
種小名のキリアタは縁に繊毛が生じるという意味です。茎などの表面に繊毛が生じることからの命名です。ヒュブリクティーやタベルモンタナとの区別をつけるため、フリンジド(繊毛)チョウジソウと呼ばれています。
花色:ブルー(水色)
開花時期:5月頃
草丈x株幅:60~90cm丈x60~90cm幅
原産地:北アメリカ各地
育て方
ポット苗として初秋に販売されることが多いです。
アムソニア・ヒュブリクティー(細葉チョウジソウ)など一部の原種の種は販売されているようですが、栽培家向けのことが多く、入手は簡単ではないと思います。
場所を選ぶ
半日陰、日当たりのよい場所、どちらでもよく育ちます。
土壌はとくに選びませんが、アメリカでは河岸など湿潤環境で自生地が見いだされることが多いようです。できれば腐食分を含む水はけのよい土壌に植え込んであげるとよい結果が得られると思います。
耐寒性、耐暑性とも優れ、国内各地で栽培可能です。
植えつけ
ポット苗を入手した時期からあまり時間をおかず、大きめのポット、地植えすることをお薦めします。
チョウジソウは冬越しした株から春に入ると多数の新芽をふき、それがそれぞれ新しい茎として伸びてボリュームのある草姿となります。なるべく早い時期に株(根)を充実させると、春に多数の新芽が期待できます。
手入れ
露地植えの場合は無肥料でもよく育ちます。
種を採る予定がなければ、開花が終わったら花柄は早く落とすとよいと思います。
晩秋から初冬、黄葉が終わり、枯れこんで枝だけになったら地際近くで切り戻します。
株が混みあってきたら、株分けするとよいでしょう。
種の取り撒きでも発芽するなど実生による生育は難易度は高くないですが、株が充実するまで数年を要したりするので、株分けのほうが容易ですし、早い成長が期待できます。なお、’ストーム・クラウド’は登録品種ですので増殖は控えるのが礼儀かと思います。
病害虫
病気・害虫ともあまり発生しません。
コンパニオンプランツ
春、水色に群れ咲くチョウジソウの花はとても美しいですが、開花期間はそれほど長くありません。この記事でもなんども繰り返していますが、チョウジソウの利点は、春から秋にかけて、かたち良くまとまるオーレア気味の草姿と晩秋から初冬にかけての見事な黄葉にあります。ガーデニングにおいては欠かせない脇役という立ち位置かと思います。
したがって、春から冬にかけて季節を主役として彩るほとんどの植物にとって優れたコンパニオンプランツになると思います。
庭に混栽してよく調和が保てるのは、チョウジソウの細めの葉とコントラストがあって変化を楽しめる植物かと思います。
アガパンサスやクロコスミア、アイリスなどの剣状葉の植物、ヤマアジサイや小型のノリウツギなどのかたち良い楕円/卵型の葉、あるいはフジバカマ、アスチルベなどの鋸歯状葉(ギザギザ葉っぱ)の植物がよきコンパニオンになると思います。
いくつか候補をあげておきます。










