バラと宿根草の庭つくり③~チューリップ以外の球根を選ぶ
はじめる前に
バラとコンパニオン・プランツが調和するコテッジ風ガーデンつくりをめざしています。
早春の芽吹きから若緑への移ろい、そして絢爛たる春の開花を楽しみ、秋から冬への枯れ姿を慈しむ、そんな庭つくりです。
手入れが楽であることが前提として、関東南部の梅雨と盛夏に耐える草木を選ぶことを原則としていますが、”好き”が嵩じてどうしても選んでしまうものもあります。
ここでは、早春から開花して庭を彩るおすすめ球根をご紹介します。春の庭には欠かせないチューリップは別の記事『バラと宿根草の庭つくり②~チューリップを選ぶ』でご紹介しています。
次の6点にメリットがあるかどうかを選択の基準としています。
| 楽しみ | アイコン |
|---|---|
| 芽吹きを楽しむ | |
| 花色や花形を愛でる | |
| 香りを楽しむ | |
| 葉色や葉形の変化を楽しむ | |
| 冬の枯れ姿を楽しむ | |
| こぼれ種が期待できる |
“植えっ放し”で毎年楽しむことができる球根
“植えっ放し”で毎年楽しむことができる球根を、上述した6点のメリットを照らし合わせながら選んでいます。
| 品種名 | 花色・葉色など | 草姿と高さ | 開花時期 | 品種・メリットなど |
| クロッカス | 白、黄、パープル、ストライプ | 高さ10~20cm | 2~4月 | 植え放し可能、初夏~冬季落葉 |
| イフェイオン(ハナニラ) | 紫、白、黄、ピンク | 高さ10~20cm 晩秋に芽が出る | 3~4月 | 植え放し可能、初夏~晩秋落葉 |
| スパニッシュ・ブルーベル | 青、パープル、ピンク | 高さ30~40cm | 4月上旬 | 植え放し可能、初夏~冬季落葉 |
| スイセン | 白、黄、ピンク | 高さ30~50cm | 3月中旬~下旬 | 植え放し可能、初夏~冬季落葉 |
| ダッチ・アイリス | 青、紫、黄、白 | 高さ40~60cm | 4~5月 | 植え放し可能、初夏~冬季落葉 |
| アリウム(一部) | パープル、ピンク、白 | 高さ40~90cm | 5~9月 | 初夏~晩秋落葉など品種により違いがある |
クロッカス(Crocus :アヤメ科クロッカス属)
早春、いち早く開花するクロッカスの花は庭に春を告げる小さな天使のようです。ここでは小型ながら多花性で早咲き種と少し遅れて咲く大型種をすこしだけご紹介します。
もう少し詳しい内容は『クロッカス(Crocus :アヤメ科クロッカス属 )』をご参照ください。

ツワーネンブルグ・ブロンズ(C. chrysanthus ‘Zwanenburg Bronze’)
オランダ北部の町、ツワーネンブルグにちなんで命名されています。
小型早咲き種(スノークロッカス)の人気品種。
イエローの花弁、弁裏が赤褐色に染まり人目をひきます。
花期:2月末~3月
草丈x株幅:7~10cmx7~10cm
RHS AGM(英国王立園芸協会 Award of Garden Merit)

ブルーパール(C. chrysanthus ‘Blue Perl’)
もっとも美しい早咲きクロッカスのひとつと賞賛される品種です。
ペールイエローの花弁。花芯は強いイエローに染まり、花弁裏には刷いたようにラベンダー色がでる美しい花色。強くはないですが、香りも楽しめるというおまけまで。
花期:2月末~3月
草丈x株幅:7~10cmx7~10cm
RHS AGM

ルビージャイアント(C. tommasinianus ‘Ruby Giant’)
“トミークロッカス”の通称でも呼ばれる早咲きの大型種のひとつです。旺盛に生育し適した環境下では群生することもあります。
花期:2月末~3月
草丈x株幅:7~10cmx7~10cm

ピックウィック(C. vernus ‘Pickwick’)
”ダッチクロッカス”とも呼ばれる遅咲き大型のクロッカスです。ラベンダーの濃淡によりストライプとなる花色がなによりの魅力です。この品種も順調に生育すると群生することがありあます。
花期:3月
草丈x株幅:10~15cmx10~15cm

ヴァンガード(C. vernus ‘Vanguard’)
この品種も大型種のダッチクロッカスの一種です。
花弁はラベンダー色の濃淡が出て美しいですが、’ピックウィック’のようなストライプとはならず、大きな班模様のようになります。
花期:3月
草丈x株幅:10~15cmx10~15cm
RHS AGM
ハナニラ/イフェイオン・ウニフロルム(Ipheion uniflorum:ヒガンバナ科ネギ亜属ハナニラ属)
ハナ(花)ニラは文字通り、野菜のニラ(Allium tuberosum)の近縁種です。25種におよぶ原種が知られていますが、市場に出回っているのは、星型、藤色気味のライトブルーの花を咲かせるウニフロルム属の原種そのものか、ウニフロルムを元にした園芸種がほとんどです。
もう少し詳しい解説は『ハナニラ/イフェイオン・ウニフロルム(Ipheion uniflorum)』で。

ハナニラ(Ipheion uniflorum)
原産地は南アメリカ、明治時代に日本にもたらされました。
日本の気候によくマッチし、植えっぱなしでもよく生育します。
開花時期:早春(一般的には3月中旬から4月初旬)
草丈/株幅: 8~10cm/20~30cm

ピンクハナニラ(Ipheion uniflorum ‘Charlotte Bishop’)
ピンクハナニラは原種ハナニラを交配親として育種されたものです。’シャーロット・ビショップ’などの園芸種が流通しています。
開花時期:早春(一般的には3月中旬から4月初旬)
草丈/株幅: 8~10cm/20~30cm

白花ハナニラ(Ipheion uniflorum ‘Alberto_Castillo’)
白花ハナニラも原種ハナニラを交配親として育種されたものです。’アルベルト・カスティロ’などが流通しています。
開花時期:早春(一般的には3月中旬から4月初旬)
草丈/株幅: 8~10cm/20~30cm
スパニッシュ・ブルーベル/ヒアキントイデス・ヒスパニカ(Hyacinthoides hispanica :キジカクシ科ヒアキントイデス属)
スパニッシュ系とイングリッシュ系のブルーベル系が知られています。釣鐘状に開花するイングリッシュ系はとても優雅ですが、残念ながら、千葉北西部の盛夏を越えることがむずかしいというのが現状です。もう少し詳しい解説は『スパニッシュ・ブルーベル/ヒアキントイデス・ヒスパニカ(Hyacinthoides hispanica )』で。

スパニッシュ・ブルーベル(Hyacinthoides hispanica)
スペインに自生していることから、”スパニッシュ”の名が冠されています。ボリュームのある剣葉のなかから花茎が直立し、釣鐘状の花序を形成します。
耐寒性、耐暑性に優れ、植えっぱなしで毎年開花が期待できる優れた品種です。
開花時期:4月上旬~下旬
草丈x株幅:30~40cmx30~40cm

イングリッシュ・ブルーベル(H. non-scripta)
ほとんどのヒアキントイデスの自生地は地中海を取り囲むように南ヨーロッパと北アフリカに広がっていますが、このノン=スクリプタは英国の森林などに自生しています。
春、樹木の下をブルーに染め上げるほどの群生地が各地に見られるますが、それは英国の春の到来を告げる風物詩となっています。
耐寒性には優れていますが、千葉北西部では夏越しがむずかしくなっているのが、残念です。
開花時期:4月上旬~下旬
草丈x株幅:25~35cmx25~35cm
スイセン(Narcissusu:ヒガンバナ科スイセン属)
スイセンはチューリップとともに春咲き球根の代表格です。原種は30種ほどですが、園芸種は優に一万を超えるということです。
ペチコート・スイセン(Narcissus bulbocodium)や寒咲き日本スイセン(N. tazetta var. chinensis)のように温暖気候下では12月の開花が期待できる早咲き球根もあります。


原種の系列から分類されたり、また八重咲き、ラッパ型、トリアンドロス(下向き)型などの花形で分類されたりします。全体を解説するの他の機会にしたいと思います。ここでは4月ころに咲く園芸種6種をご紹介するにとどめます。

ポエティクス系
花期:4月中旬から下旬
草丈:30-60cm
RHS AGM

ラージ・カップ系
花期:4月初旬から中旬
草丈:30-60cm
RHS AGM

シクラミネウス系
花期:4月初旬から中旬
草丈:15-20cm
RHS AGM

トリアンドルス系
花期:4月中旬
草丈:30-60cm
ADS Wister Award(アメリカ水仙協会、最高賞)

タゼッタ系
花期:4月初旬から中旬
草丈:30-60cm
RHS AGM

トランペット系
花期:4月初旬から中旬
草丈:30-60cm
RHS AGM、ADS Wister Award
ダッチアイリス(Iris x hollandica:アヤメ科アヤメ属)
ダッチアイリスはスペイン原産のアイリスを交配親とした園芸種の総称です。おもにオランダで育種され市場へ投入されたことから、“ダッチ(オランダ)”と呼称されています。
アイリスには日本由来のアヤメ(綾目)、カキツバタ(白筋)、ハナショウブ(黄筋)などに加え、ジャーマンアイリスなど数多くの品種がありますが、日本古来のものには栽培に多少注意を払う必要があり、また、ジャーマンアイリスの場合は深植えを嫌い、アルカリ土壌が好ましいなど、やはり庭植えの他の植物とはいくぶんか異なる管理をしなければなりません。
その点、ダッチアイリスは青、黄、青黄二色などに花色が限定されますが、庭に植栽後は放置しても毎年開花することが多く、管理がとても楽です。開花は5月ころ。ブルーのスパニッシュ・ブルーベルの花の後を追いかけるようにブルーやイエローの花が開くのは、春の楽しみでもあります。


アリウム(Allium:ヒガンバナ科ネギ属)
アリウムはネギ属の学名です。野菜の長ネギ、玉ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、アサツキなども同じ属に含まれています。500種とも1,000種とも言われるほど多くの原種が知られていて、北半球全体にひろく自生しています。
美しい原種の交配がすすめられ、大型種、小型種など多彩な園芸種が生み出され庭を飾ってくれています。関東西部以南では夏季堀りあげて保管するのがよいものもあり、”植えっぱなし”でよい球根ではありませんが、庭つくりには欠かせないと思います。もう少し詳しい解説は『アリウム(Allium:ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属)』で。

A. ギガンテウム(A. giganteum)
直径10〜20cmほどの丸いボール状の花序になります。花色は主に赤紫。春咲き大型種の代表的な品種で、いちばん人気の品種です。
休眠期に入る8月から9月に堀りあげ冷暗所保管が必要となります。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅: 80~120cm x 20~30cm
RHS AGM

A.クリストフィ・’スターオブペルシャ’ (A. cristophii ‘Star of Persia’)
草丈はずっと低いですが、ギガンテウムと同様、20cm径を超えるほどの大玉の花序となります。
‘スター・オブ・ペルシャ’という呼び名はまことにふさわしいと思います。
ギガンテウムと同様、関東南部では8月から9月の休眠期に堀りあげ冷暗所保管が必要。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅:40~60cm x 15~25cm

A. ホランディカム ‘パープルセンセーション’(A. hollandicum ‘Purple Sensation’)
花球は8cm径前後と、ギガンテウムに比べれば小球ですが、草丈はギガンテウムよりいくぶんか小さい程度です。花色は鮮やかな紫となり、群生すると庭を華やかに彩ります。
ギガンテウムとともに庭植えによく用いられる大型種です。この品種も関東南部では8月から9月の休眠期に堀りあげ冷暗所保管が必要となります。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅:80~100cm x 20~30cm

A. 丹頂(A. sphaerocephlum ‘Tancho’)
花茎だけが60㎝高さほどに伸び、小さなうずらの卵のような花序をつけます。花色は赤紫、開花始めには下部に緑色が残りますが熟成すると赤紫へと移ってゆきます。
耐寒性、耐暑性に優れ、関東南部でも植えっぱなしでもよく夏越しする強健種です。
開花時期:5~6月
草丈 x 株幅:40~60cm x 5~10cm
RHS AGM
シベリア地方を原生地とする夏咲きアリウム、A. ヌタンス(A. nutans)などを交配親とした7月から9月に開花する夏咲きアリウムが出回るようになりました。いずれも貴重な夏咲き球根ですし、植えっぱなしでも越冬することが多いと報告されています。園芸愛好家にはうれしいニュースです。

A. ミレニアム(A. ‘Millenium’)
A. ミレニアムは開花が終了しても秋口まで緑葉が残り、盛夏の庭に彩りを添えてくれます。
開花時期:7~8月
草丈 x 株幅:30~40cm x 40~50cm
2018 Perennial Plant of the Year*
*”Perennial Plant of the Year(年間最優秀宿根草)とは、園芸に携わる専門家数百人の投票により、一年間に一品種だけが選ばれる名誉ある顕彰です。
画像の多くはWikimedia CommonsのCC BY SA-3.0 or 4.0から利用させていただいています。


