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バラ、特にオールドローズ、ランブラーが好きです。
品種名の由来や込められた思い、あるいは背景となった物語、
また、育種者が生きた時代などへの想像をふくらませる作業などを続けています。
バラと宿根草や、葉色が美しいリーフプランツや灌木などを配置したコテージガーデンの作庭も夢見ています。

ラ・ベル・スルタン(La Belle Sultane)- gallica

ラ・ベル・スルタン(La Belle de Sultane)

Photo/Rudolf [CC BY SA-4.0 via RoseBiblio]

ラ・ベル・スルタン(La Belle Sultane)- gallica

どんなバラ?

7cmから9cm径、セミ・ダブル、ごく浅いオープン・カップ型の花形となります。
花色はクリムゾン、熟成すると次第にヴィオレット気味となることが多い品種です。花弁の基部が白く色抜けすることもあり、イエローの花芯との対象が鮮やかです。
強い香り。
ざらっとした感触の葉、細いけれど固めでトゲの少ない赤褐色の茎など、典型的なガリカの特徴をそなえています。しかし、こじんまりとしたシュラブとなることが多いガリカのなかにあっては、高さ200cmを超えるなど、例外的に大きな樹形となることあり、多くの研究者がガリカとダマスクの交雑により育種されたのではないかと見ています。

育種者、育種年など

1795年以前、オランダにおいて育種されたというのが一般に流布している説ですが、異論もあります。

この品種は別名マエカ(Maheka)という名称で呼ばれることもあるのですが、フランスで広く園芸植物の販売をしていたルイ・クロード・ノワゼット(Louis Claude Noisette)が1815年ころマエカとい名称でもたらしたというのが一説。また、下記で言及していますが、16世紀にさかのぼる古い品種のヴィオラケア(violacea)が、19世紀になってデュポンによってフランスへ紹介されたのち、ラ・ベル・スルタンの名がつけられたのではないかという説のふたつです。
じつはノワゼットが紹介したとされるマエカもクリムゾンの花色の品種なのですが、ブールソールの別品種であろうと考えられるようになっています。今日ではマエカ・ガリカとマエカ・ベンガル(ブールソール)という別品種として判別されるようになっていますので1815年説は排除されるべきかと思います。ここでは、16世紀にすでに知られていた古い由来の品種としました。

ジョワイヨ教授の解説

教授は『ラ・ロズ・ド・フランス』のなかで、つぎのように解説しています。

…Rosa gallica “violacea” または “Violacea” と呼ばれる品種があり…
これは、ドイツの植物学者K. G. Rössig (1752-1806) が1799年から1803年頃に記述したRosa violaceaのことであろう。そして、この品種の起源はおそらく16世紀に遡り、18世紀末にはオランダで栽培されていたと考えられる。
フランスにはデュポン社によって持ち込まれたのだろう。

伝えられた物語

エメ・デュ・ブク・ド・リヴェリ(Aimée du Buc de Rivery)
Aimée du Buc de Rivery [Public Domain via Wikimedia Commons]

ラ・ベル・スルタン(La Belle Sultane)とは”麗しのトルコ皇妃”という意味です。非常に興味深い話が伝えられています。

ナポレオン皇妃となったジョゼフィーヌは実はカリブ海、西インド諸島のマルティニック島の出身でした。ジョゼフィーヌの従妹のエメ・デュ・ブク・ド・リヴェリ(Aimée du Buc de Rivery)は、本国フランスで教育を受けるためマルティニック島からフランス本国へ向かっていた航海の途中、イスラム系の海賊に捉えられてしまいました。
彼女はコンスタンチノープルのハーレムに送られ、第27代オスマン・トルコ皇帝、アブデュルハミト1世の皇妾となりました。
アブデュルハミト1世は、ヨーロッパ文化への造詣が深く、古い伝統を打破しようと軍隊の近代化を計るなど、”開化”派の皇帝でした。宮殿はロココ式に装飾されていたとも言われています。しかし、クリミア半島へ進駐するロシアを防ぐことができず、手痛い敗戦により領土を失うなど、オスマン・トルコの凋落を象徴する皇帝でもありました。
このアブデュルハミト1世にフランス語を教え、後、第30代皇帝となるマフムト2世の母となったのが、エメ・デュ・ブク・ド・リヴェリ(イスラム名:ナクシ・ディル・ハセキ:Naksh i Dil Haseki)だったという言い伝えです。

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